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便利屋と熊【4】
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俺はいつものカウンターの席でデザートイーグルを指で撫でながら、さっきのエリックの顔を思い出していた。
あの少年みたいな、明るい笑顔っていうか。穢れを知らねぇっていうの?
まあ、こんな場所でこんな商売してんだから穢れを知らないって訳じゃねぇとは思うけど。
「よぅ、兄ちゃん。邪魔して悪かったな!エリック、お代はここに置いとくぜ」
ビリーがなんだかニヤニヤしながら俺に手を振った。エリックも心無しかぎくしゃくしてやがる。
「おう…また来いよ?」
「来る来る!…なぁ、兄ちゃん」
「…俺?」
「おうよ。あいつでっかい図体で熊みてぇにぼんやりしてる奴だけどよ。すっげぇ良い奴だから、あんたは間違ってないぜ?」
「…なんの事だよ?…てか、熊ってぼんやりしてんのか…?」
ビリーは俺の質問には答えずに、笑って手を振りながら店を出ていった。
「あいつ、何だったんだ?」
「ん、まぁ…気にすんな」
「いや。気になるから」
「…気づきやがったんだよ。俺達の関係に」
「…は」
さっきまでの俺らに、関係がバレる要素どこにあったよ?
いや、別に俺は困らねぇし。むしろ手出しされないように出来るし、いいけどよ。
エリックは、その…良かったんだろうか?
様子を伺うために、俺はエリックの顔を視線だけで確認してみた。
エリックはちょっと赤い顔で、頬を掻いている。
嫌…ではなさそう…か?
ちょっと気になるし、一応聞いてみる。
「なぁ、エリック」
「何だ?」
「俺と恋人同士って、やっぱ嫌?」
「そんな訳ないだろ」
即答だった。
「…そうか。良かった」
「ん、嫌だったら、そもそも恋人関係になんてなってねぇよ」
「…うん」
微妙な無言の時間が続く。
お互いに照れて、何にも言えないこの感じ。
「獏」
「んー?」
「キス、していいか?」
「ぶっ?!」
思わず俺は吹き出した。今まで、エリックから…その…恋人同士でしかしないこと…みたいな…そういうこと、やりたいって言ってきたことあったか?
だいたい俺から仕掛けて、煽って、乗らせたみたいなとこあったから。正直、驚きだった。
「嫌か?」
「んな訳ねぇだろ!!」
「なら良かった。じゃあ、こっち向いてくれ」
「へ、あ、お、おう」
カウンターに手ついて顔を上げたら、それでも俺を見下げるエリックがいた。
エリックの大きい手が、頬に触れた時、自分の心臓が痛いことに気がついた。
瞼を閉じると、唇が触れて、思わず身体が緊張する。
エリックは片手で俺の顎を持ち上げながら、反対の手で頭を撫でていた。
「…っ」
味見するみてぇに唇を甘噛みされて、少し口を開くと舌が遠慮なく入ってくる。
「…ん…ふ、ぁ」
「……ん…」
舌で口の中掻き回されて、でも優しくて。俺は正直、頭がぼんやりしてエリックの事しか考えられなくなっていた。
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