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便利屋と蝶【2】
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覚悟を決めて、俺は口を開く。
「…サンク、ちょっといいか?」
「うん…?ど、どうしたの?か、体の具合でも、わ、悪い…?」
「あー、いや、そうじゃなくて…その、箱どうしたんだ?」
本当は聞きたくなかった。知ってはいけないと本能が警鐘を鳴らしていたが、聞くしかなかった。
俺は努めていつも通りな感じでサンクに問う。
「あ、こ、これ…?これ、ね、僕…夜の僕と違って、た、桃を…き、気持ち良くさせられる自信、な、ないから…」
嫌な予感はどうやら当たったらしい。
「たくさん、“道具”、よ、用意したんだ…!」
頬を赤らめながら箱の中身を見せてくれたサンクだが、その中身、俺でも見たことないぐらいエグいやつがあるんだが。
それに、口ぶりから察するに、俺の事を抱く気満々じゃないか。
「…サンク、お前、自分に自信持てよ…」
「え?あ、あ、ありがとう…?で、でもこういう道具…つ、使った方がいいって、ぼ、僕も言ってたから、桃も、その方がいいの、かなって…」
「………夜サンク…あいつ覚えてろよ…」
前にサンクから聞いたが、2つの人格は記憶を共有していて、表に出ていない人格はまるで生放送のテレビを見ているかのように、もう一方の人格の行動をリアルタイムで確認している感覚らしい。
つまり、夜のサンクに抱かれてる情けない俺の図は朝のサンクにも見られてる訳だし、逆もまた然り。
夜サンクが道具を使った方がいいと朝サンクに言い出したのは、自分が見たいからでもあるだろう。
「その…も、もし桃が、い、嫌なら…無理に使わない、よ…?僕は、桃の気持ち…優先、し、したい、から…」
夜の方に比べ、なんて良い奴なんだ。きっと今のサンクは、(下心のある夜の方とは違って)本当に俺のことを想って用意してくれたんだろうな。
…今のサンクが試してみたいって言うなら…考えてみても、いいか。
「…サンクは、その…道具、使ってみたいのか?」
「うん」
「即答かよ」
若干食い気味の反応に、思わずツッコミを入れてしまう。ここまで反応早いのも珍しいな。
そんなに?そんなに使いたいのか?そのエグいやつを?
「…お前がそこまで言うなら、まあ試してみてもいいかな、と」
「え…ほ、ほ、ほんと…?か、必ず、君を満足させてみせるね…!」
長い前髪から覗く、きらきらと輝いた瞳に純粋な笑顔。
中身のエグい箱さえ持っていなければ、最高のシチュエーションなんだけどな。
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