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来日、出会い
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ボンゴレ9代目の口調がブレブレですがどうかお許しください(*・ω・)*_ _)
The phantom(ファントム)…
それは泣く子も黙る巨大なマフィアのファミリーだった。
その規模は世界一とも言われるボンゴレをも凌駕していた…しかし、ある日突然、忽然と姿を消してしまった。
屋敷の中は争った後も血の跡もなく、ただ空っぽになっていた。
世間ではまことしやかにボンゴレとの抗争で負けたのではないかと噂が立てられたが…それもやがて風化した。
そして、世界一のファミリーとしてボンゴレが台頭している…現在。
1人の少年が、日本へと降り立った。
少年の名は…シャトー・リリアン(Chateau Lilian)。
ファントムファミリー最後の当主として在任していた、歴としたファントム10代目である。
これは1人の少年による、平和のための物語…
「あー…疲れた。イタリアから結構時間かかるもんだなぁ…」
ゴキゴキと首と肩を鳴らし、小さなスーツケースを持って空港を出口へと歩き出す。
歩くたびに長い白銀の髪が揺れ、薄い色のサングラスの上から不思議な色をした瞳が伺える。
真っ白な肌に形の良い目鼻。
人は皆まるで天から降り立ったかのような少年が通り過ぎるとそちらに目を向けずにはいられなかった。
年に似合わず黒いカッターシャツを着込んだ少年は、唇に薄い笑みを浮かべ、ガラス越しの太陽を眺め呟いた。
「ボンゴレ10代目…早く会いたいな」
高層マンションの最上階。
超がつくほど高級なマンションに着くと、俺は荷物を下ろしベッドへ倒れこんだ。
今日からここで1人暮らし。
並盛中への転校手続きはもうしたし…
とりあえず、日本でこの髪と目は目立ちすぎる…
来る途中で購入した、ヘアスプレーで髪を黒く染め上げる。
腰まで伸びた髪を低い位置でまとめ、グレーとバイオレットのオッドアイを焦げ茶のカラコンで隠す。
スーツからパーカーとジーパンに変え、とりあえず腹ごしらえをしに家を出た。
「へいらっしゃーい!」
元気に出迎えたのはハチマキを巻いた寿司屋の大将。
日本に来たからには、やっぱり本場の食べ物が食べたい、と、並中の近所で1番繁盛している寿司屋をタクシーで教えてもらったのだ。
“竹寿司”と書かれた羽織を来て、手際良く俺にメニューとお茶を出してくれる大将に、とりあえずマグロと鯛を注文する。
すぐに形の良い寿司が目の前に並べられた。
マグロを口へいれると、シャリがほぐれてしっとりした柔らかなネタが歯に心地いい。
やっぱりプロは仕事が違うなぁ…
「大将、オススメの寿司の握り、片っ端から全部頂戴。あと、茶碗蒸しとアサリの味噌汁!」
大将は一瞬驚いた顔をしたあとすぐに笑顔になって、
「あいよ!」
と元気に応えた。
「おい、武!茶碗蒸しとアサリの味噌汁のご注文だ!」
奥へ向かって大将が言うと、若い男の子の顔が厨房から覗いた。
いかにも元気な野球少年って感じか?
「はい、茶碗蒸しとアサリの味噌汁な」
早速茶碗蒸しから手を付ける。
んー美味しい!
舌の上で蕩ける…
「お客さん、若いな!何歳なんです?」
武と呼ばれた少年が俺に尋ねた。
そういえば、何でずっとここに立ってるんだろう、この人…
「君も若いと思うけど…バイト?」
「いやぁ、俺は親父の手伝い!13歳の中2だ!」
…身長高。
「そっか…俺も同い年だよ」
もぐもぐと茶碗蒸しを食べながら答えると、武は驚いた顔をした。
「何?」
「いや…うち、結構値が張るからって、あんまり子供で来る人いないからさ…。親も一緒にきてないみたいだし、意外だなって」
お金だけはあるからな…
「いや、寿司が好きだから」
「お客さん、嬉しいこと言ってくれるね!サービスで鉄火つけとくよ!」
「ありがとうございます!」
ぱくりとまた寿司が一つ口の中へ消えた。
お会計を済ませて店から出ると、外はすっかり夜の装いだった。
財布を尻ポケットに突っ込み、歩き出そうとすると武が追いかけてきた。
「あのさ!」
「…何?」
「会計、多いんだけど!これ、お釣り!」
その手にはご丁寧に5000円が握られていた。
「美味しかったから、そのお礼。また来るよ」
にっと笑えば、武は顔を赤らめて大きく頷いた。
「おう!また来いよ!」
ひらりと手を振り、武と別れた。
そのままゲーセンに向かう。
まだ帰るには早いし、はっきり言って引っ越したばっかりで何もないから帰っても暇なのだ。
ゲーセンの中にはいると、とりあえずウロウロする。
特に目当てがあるわけではないし…
と、ふと日本人らしからぬグレーの髪が目に留まった。
その人は格闘ゲームのようなものをしている最中で、そのすぐ後ろに立ってその人をしげしげと眺める。
…あれ?この人…
ハリケーンボム獄寺隼人…?
と、1ゲーム終えたらしい獄寺がこちらを向いてガンを飛ばした。
「何ジロジロ見てやがんだてめぇ」
その口にはタバコ。
…同じ年だったような気がするのだけれど…気のせい?
「ごめんね、珍しい髪の色だなと思って」
「あぁ?」
獄寺はジロジロと俺を眺め回したあと、けっと吐き捨てるように言った、
「弱者はとっとと失せろ」と。
へぇ…どうやって育ってきたのかは分からないけれど、随分力に自信があるんだなぁ…
「うん、ごめんね」
人目も集まってきたし…と、俺は早々に退散することに。
あーあ…行くとこないや…
コンビニよってかーえろ…
家に帰るとまずシャワーを浴びて、髪の塗料を落とす。
カラコンを外し、長い髪を垂らしたままベッドに凭れてジュース片手に面白くもないニュースを見た。
言葉に困らないのは嬉しい。
スパルタだった家族にも感謝するべき機会だ…
PiPiPi…
「…?」
ケータイを手に取り耳に当てる。
『シャトー、日本には着いたか?』
「何だよジイサン、何か用?」
相手はボンゴレ9代目、俺をここにいかせる理由を作った人だった。
『別に用はない』
電話の向こうで笑う声が聞こえる。
「じゃあ何だよ」
『いやいや…そちらにお前の元部下たちが結構たくさん滞在しとるみたいだよ』
!?
『その人たちにもよろしくな』
ガチャンッ
…一方的すぎるだろ
切られたし…
…ここにいるって?
誰が…?
…また、会えるのかな…会いたいな…
ごろりとベッドに横たわると…そのまま寝てしまった。
その日の夢は、昔の仲間と遊ぶ、古い古い夢だった…
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