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診療所に来て中に入ると清水さんはもう来ていた。
「呼び出しておいたくせに待たせるとはどういうことだ」
「ごめんごめん、いろいろあって……」
襲われて途中で発情して、そのために翔空に抱かれていたなんて言えない。
何だか清水さんの顔が見られない。だから足元や他の人を見てしまう。
浮気がバレそうなのを必死に隠してる人みたい。
別にそういう関係でもないのに……
視線を感じる。見られてる?
ふと顔を見ると清水さんは不機嫌そうで。
もしかして怒ってる?俺が遅れたから?
「ご、ごめんなさい……」
さっき謝ったのに、また謝ってどうするんだよ、俺!
頭に大きな手が触れる。そして優しく髪を撫でられる。
「怒ってない。だから謝るな」
優しい表情。何か凄い甘ったるい雰囲気。
この人といると必ず1回はこういう感じになる。
そしてなぜか俺の鼓動は速くなっていく。
別に好きでもなんでもないのに……たぶん……
「それより俺に何の用だ?呼び出すなんて」
「最近体がおかしくて……」
「体がおかしい?」
清水さんに抱かれてから発情しなくなったり、なくなったと思ったら元に戻ったり。
戻ったと思ったらいつものように気持ちよくなかったり、たくさんのことがあった。
「うん、だから何か知ってないかなって……」
「それは伊織が専門だろ。俺は何も知らない」
「じゃあ何かした?」
「何もしてない。ただお前を優しく抱いただけだ」
確かに言われれば特別なことなんて何もしてない。
じゃあ一体何が原因なんだ?
しばらく話していると伊織先生が来た。
仕事が終わったのかいつも着ている白衣ではなく、Tシャツ姿だった。
「何の話?」
「こいつの体がおかしいって話」
「あぁ……考えてみたんだけどね、体じゃなくて心に変化があったんじゃない?」
ココロ……?
「どういうことだ?」
「よくあるじゃない?大好きだった人にフラれて精神的に傷つけられたとか……そういう感情が脳や心に刻まれること。その感情と一緒なんじゃないかって」
「PTSDとかそういうのか?」
「それは事故とか虐待とか強烈な精神的衝撃を受けることでしょ……優しく抱いたって言ってたのにそれは口だけだったの、じゅんちゃん?」
「いや、ちゃんと優しくしたつもりだが……」
「とにかく梓くんの心に何か変化があったのだと思うよ?」
「…」
心の変化、あったのかもしれない。
でもそれは俺にとって良いものなのだろうか……
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