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そんな話も昔のこと。父親にそのことバレてから義母にも兄にも会うことはないし、連絡が来ることもない。
だけど時々悪夢を見る。あのとき愛してくれていた兄のこと、その出来事。
何度も見ては体が震える。だけど最近はあまり見ない。それはあの声を聞いてから。
『あずさ……』
柔らかく優しく温もりのある声。それを思い出すたび、胸がキュンとする。
これは何だろう。今まで『恋』というものには縁遠くてこれが恋なのかわからない……
家に帰りこの胸のときめき?について考えてみたけどわかりはしない。
とあにその話をしてみたけど何だかムッとされて答えてくれなかったし……
謎は深まるばかり。涼ちゃんに聞いてみようかと思ったけど、最近坂口くんと上手くいってないのか不機嫌だし
明日また伊織先生の聞いてみようかな……そう思って今日は寝ることにした。
翌日、大学に行こうと思ったらとあが車で家まで来ていた。
「どうしたの?今日は」
「この前襲われてたでしょ?だから今日から送り迎えしてあげるよ」
「何それ、そんなのいいよ。日常茶飯事でしょ?襲われるなんて」
そう、そんなのずっと前からこうだった。でも慣れていたはずなのに『気持ち悪い』って思った。
でもそれは発情していなかったから。ただそれだけ。
「でも俺が心配なの。勝手にやってるだけだから遠慮しなくていいよ。」
「いいよ、本当に」
「そんなこと言ってたらもうすぐ1限始まるんじゃないの?」
時間を確認するとあと20分で始まってしまう。
「や、やば……」
「いいから早く」
車に乗り、大学へと向かった。
「この車は誰の?」
「兄貴に借りた。最近になって職場が変わって電車通勤になったから貸してくれた」
「そうなんだ……」
とあはセフレだけど、たまにこうやって送り迎えしてくれるときがある。
まるで俺を恋人として扱うように……
とあと会ったのは大学に入る前。いつものように知らない人と体を重ねフラフラと歩いているとき。
あまり詳しくは覚えていないけれど、他のやつと同じように発情して抱かれたのは覚えている。だけど彼には罵倒されなかった。むしろ謝られた。
正直驚いた。罵声を浴びるのが当たり前だった毎日がとあに会ったことで『こんな人もいるのか』という衝撃。それに自分から『セフレにしてください』と言ってきたことにも。
「今日は何時に終わる?迎えに行くよ?」
「いいよ、とあも授業あるでしょ?」
「うん。だけど俺はあずさの方が大事。」
「…」
大事にされる義理なんてないのに、こんな俺なんか……
だけど嬉しそうに運転する、とあの顔を見て断れないのだった。
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