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8 別れ -1-
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「体調はどお?少しは良くなった?」
「うん……あのさ、とあ、話が……」
「ちょうどよかった。俺も梓に話がある」
「えっ……なに?」
「たぶんあずさと同じかな、俺の予想として」
俺と同じってことはまさか……
「あずさ、別れようか」
「えっ……」
俺はまた唖然としてしまう
えっ、何で……朝までそんな素振りしてなかったし、今までと同じように俺のこと好きって言ってたのに……
「な、なんで……」
「俺が気づいてないとでも思った?」
別れ話をしているのにも関わらず彼の表情は笑ったまま。今の俺にはその笑顔が恐怖に感じる
もしかして清水さんのことがバレた……?
「付き合ってからの梓はあまり笑顔を見せなくなってた。いや、正確には笑っているけど作り笑いでいつもごまかしてたよね?」
「…」
図星で何も言えない。あの日から上手く笑えないでいた。後悔の気持ちでいっぱいだった。
「何かあるとは思っていた。それが何かも薄々気づいていた。……俺のせいだよね、ごめん……」
「とあのせいだけじゃない!俺がはっきりしないまま流されて、自分の気持ちに気づいていたのにとあがいなくなるのが怖くて、それで……」
「あずさ、正直に答えて。俺のこと好き?」
さっきの顔とは違って今度は悲しそうな、せつなそうな顔で質問してくる
「うん、好き。でもそれは友達として……とあの事、友達以上としては見られない」
「…俺といて、楽しかった?」
今にもこぼれそうな涙を浮かべて俺を見る
その顔につられて俺も泣きそうになる
「うん、楽しかったよ……!こんな体で抱かれてばかりだったけれど、一緒にいる時間は心地よかったし、楽しかった……!」
こぼれそうになっていた涙が翔空の目からゆっくりと流れ落ちる
「そっか、良かった……グスン……じゃあ最後に……あずさ……お前は誰が好き……?」
そう聞かれてゆっくりと目を閉じる
「俺は……」
『あずさ……』
「清水さんが好き……」
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