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10 突然の発情 -1-
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夢を見た。昔の夢。俺を産んでくれた優しい母親がニコリと小さい頃の俺にほほ笑みかえる。
『自転車乗れるようになったんだね。すごいわ』
『すごいでしょ!?ちょっと練習したらできるようになったんだぁ!』
たぶんこの夢は俺が初めて一人で自転車乗れるようになったとき。
いつも仕事で忙しい父親に代わって母親が自転車の乗り方を教えてくれた。
少し練習をしただけなのに、運がいいのか、俺の物覚えが早かったのか、すぐに覚え乗れるようになった。
その時のことは覚えてる。自分で『天才』だと思った瞬間だったから。
でもそれ以来、母親と出かけることはなかったが……
こんな心が温かくなる夢を見たのはいつ以来だろう。
ここ最近、良いことなくて睡眠自体、質が悪かったから、いい夢も何もなかったけど。
目が覚めるといつの間にか清水さんの姿は消えていた。
「あれ……清水さん……?」
どこ行ったんだろう。立ち上がり背伸びした後に部屋を出ようとすると。
ガチャッ……とドアが開く音が聞こえて。
「何だ……起きてたのか……」
目の前に清水さんが。
「うわぁ!?」
「…そんなに驚くことでもないだろ。起きたなら、シャワーでも浴びるか?昨日そのまま寝ただろ?」
「えっ…あぁ……」
そういえばそうだな……清水さんに乗っかられたままだったから、そのまま寝ちゃったんだっけ。
あっ……清水さんの目の下のクマ、昨日より薄くなってる。ちゃんと寝てたもんね、良かった。
「良かった……」
「ん?何が」
「ううん、何でもない」
よく寝れたのは俺のおかげかな?そうだといいなぁ……
俺もぐっすり眠れたみたい。鏡の前で自分の顔を見ると濃かったクマも薄くなって、顔色も良くなっていた。
清水さんといると何だか調子がいい。
やっぱり好きな人と一緒にいるからかな?
体を綺麗にしてリビングに行くと清水さんの隣にもう一人分の食事が用意されていた。
見てみると焼いた食パン、ケチャップのかかったスクランブルエッグ、サラダ、コンソメスープ、ソーセージ等々が皿に盛りつけられていた。
お金持ちなのにお金持ちを感じさせない朝食。清水さんはこういうのが好きなのかな?
「おはようございます、市川様。お食事を用意いたしましたので、良かったら」
「ありがとうございます」
椅子に座り染谷さんが用意してくれた朝食を食べていると。
「そんなにゆっくりしていていいのか?今日大学だって染谷から聞いたが?」
「そうだけど……何で?」
「時間、きちんと見ろ」
言われて時計を見てみるともう家を出なければいけない時間で。
でも清水さんの家からどのくらいかかるのかわからないから、慌ててご飯を食べる。
「何で、わかってて早く言わないのさ!!」
「自分で把握しててゆっくり食べているのかと思ったから」
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