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11 好き -1-
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口から漏れた言葉が、『好き』が本人の耳に届いてしまった。
ど、どうしよう。この気持ちは自分の胸に止めておこうと思っていたのに。
「な、何で……」
「昨日のことで話をしようと思って来た」
「そ、それはわかってるんだけど……」
聞かれたことに動揺しているみたいで、上手く言葉が出てこない。
えっと、えっと……
「あの写真の相手は俺の元恋人」
「えっ」
俺が考えている間に、清水さんは昨日話すと言ってくれた例の写真の相手について話し始めた。
「高校からの付き合いで、最初はただの友人だったけど、『好きだ』って言われて付き合うことになった。だけど半年たってフラれた。『好きな人ができた、友達に戻りたい』って。
少しだけショックだった。だって付き合ってるうちにだんだん惹かれる自分がいたから。でも、別れたのが間違いだった」
「間違い?」
「……別れて2年経った頃にあいつが入院したってことを聞いた。事故で転落したって。でもどう考えても自殺未遂だって警察は言っていた。
当の本人は意識が戻らなくて今も昏睡状態。原因は今もわからない」
「そうなんだ……」
大切な人が今も生死を彷徨っている。心配しないはずがない。
プライベートのものがこの部屋にほとんどないのに、あの写真を持っていたのはいつか戻ってくると信じて待っているからなのかもしれない。
それにあの写真の人は清水さんにとって大切な人だから。
「だから今も待ち続ける。大切な友人だから」
「うん……」
そうだよね、大切な人だもんね……俺のことなんか眼中に……
「だからといって、俺はどうでもいいやつとは寝ない」
「・・・ん?」
清水さん?
「どうでもいいやつにキスなんかしない。…どうでもいいやつに抱き着かない」
「……なに、言ってるの……?」
急な話で話についていけない。
すると清水さんはこっちを向いて手でわしゃわしゃと髪の毛をくちゃくちゃにしてきた。
「なに、するんですか……やめろぉ……」
「鈍感すぎて困る。体は敏感なのに」
鈍感?俺が?
……って体が敏感なのは関係なくない!?
わしゃわしゃしていた手を止めると、ゆっくりと頬に触れる。
何だかめっちゃいい匂いがする。さっきまではあまり感じなかった清水さんのフェロモンが一気に出てくる。
何で……この匂いに包まれたら、また発情しちゃうじゃん。
だんだんとまた体が敏感になってくる。
ダメダメッ!惑わされたら!
「あずさ、俺を見て……」
み、見れない……!今絶対変な顔してる。顔が、体がまた熱くなる。
また変なこと言っちゃうって。快楽に流されて、おかしくなって……
「あずさ……」
「んンッ……」
耳元で囁かれて感じちゃう。
ダメだって……こんなのズルい。好きだってわかってるくせに……
「こっち向いて。顔見たい……」
「見ないでぇ!」
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