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〈空邪side〉
仕事のため、市川様といったん距離を置かなければいけなくなってからの純佑様は、ご機嫌斜めのご様子。
だからなのか必要以上のことは話さなくなってしまっています。
「染谷、次」
「次は〇〇様の……」
「その次」
「△△様……」
普段からあまり物を言わない純佑様。
なのに不機嫌ですとそれ以上に物を言わなくなるので、初対面の方、出会って日が短い方々は気づきにくい場合もありますね。
それに。
「そめ、ちゃ」
「かしこまりました」
言うのが面倒くさくなるらしく、今おっしゃられた意味は「染谷、お茶をくれ」ということを「そめ、ちゃ」と略されることが多々あります。
でも以前からそういう言葉を使われるので、何を言ってるかわかるようになってきました。
「…次で今日は最後の仕事です」
「今日はムリ」
「これが終わったら市川様に会えます」
「あずさの名前を出すとか卑怯だぞ。チッ……仕方がない。あずさのためにやってやる」
最近、純祐様は市川様とのことで進展があったようで上機嫌。
優しいお顔もされるようになった……
とても嬉しいことです。
お仕事が終わり、時計を見ればもう夜10時。予定ではもう少し早く終わるはずだったのに、少々面倒な仕事で。
一度は上機嫌だった純祐様はまた不機嫌になってしまわれて。
「お疲れ様です」
「…」
「明日はお休みですのでごゆっくりなさいませ」
「…」
あぁ……これは話しかけない方がよろしいですね。
車でかけていたラジオを音楽に変え、純祐様に話しかけないようにした。
家に着くと何故か明かりがついていた。
ちゃんと消したはずなのですが……
「あ、あずさ」
急に純佑様が市川様の名前を呟き、車から勝手に飛び出し家の中へ。
さっきとは打って変わって、体が軽いそうで颯爽と走る。
市川様のことになればそんなにも動くんですね……と感心しながら純佑様のあとを追うように家に入ると。
「な、なんと……」
市川様のフェロモンが家の中に漂っていた。しかも所々部屋が散らかっている。
これは……
「侵入者でしょうか……」
「そうとは限らない」
「えっ?」
それはどういう意味でしょう……?
純佑様はそのまま寝室に向かい、それについていこうとすると。
「ここからはプライベート。お前はもう帰っていい。2人きりにしてほしい」
「…かしこまりました」
『立ち入り禁止』とされてしまいました。
外から中の様子を聞こうと思いましたが、残念ながら純佑様の寝室は防音素材を使っているらしく、中の音は聞こえないようになっているようです。
仕方がない……今日ここで失礼しましょう。
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