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千明と別れて2年たったある日、大学の講義中に伊織から連絡があった。
伊織の母親が働いている病院に千明が運ばれてきて入院してると。
急いで病院に行き本当に本人なのか確かめると、確かに千明で。
何でこうなったのかちゃんとした理由はわからないが、転落事故だと聞かされた。
でもどう考えても自殺未遂じゃないかと警察は言っていたという。
「ちあき……」
一向に目を覚まさない千明。脳死ではないと判断されてるのになぜ起きないのか、いまだにわからない。
ずっと眠ったままの状態が続き気づけば俺は社会人になっていた。
社会人になってからはさっきも話したように子会社を運営し、父親の会社も時々手伝いをしている。
事業内容は秘密と言ったが、少しだけ教えると主にインターネット上でのやりとりが多い仕事だ。たまに顧客のところへ行くため外出も多々あるが。
月に1度、千明のところへ行く。染谷も一緒に。染谷が千明のことを知ったのはつい最近。
同級生の中では一番仲良かった2人。だから知ったら仕事に支障をきたすと思い、仕事が落ち着くまで言うのをやめていたのだ。
千明に会いに行き、千明と2人きりにさせると染谷が千明に向かって、今日の出来事や思い出について、俺が戻ってくるまで1人でしゃべり続けていた。
普段はあまり話す方ではない染谷。でも戻ってくると信じて何度も話しかけてるのだろう。
ある日、千明の見舞いに行った際に見覚えのある人を病院で見つけた。
「市川先生?」
市川先生。高校時代の担任の先生。
「清水……染谷……なぜ、君たちが……」
「先生こそ、どうしてこちらへ……」
市川先生は厳しいではあったが、生徒たちのことを思う優しい人でもあった。
だけど。
俺が卒業してから、ある女子高生にセクハラなどといった淫行があったという噂が広まった。
それ以来先生は学校から姿を消したという。
でもそれは女子高生の作り話で、市川先生に対する嫌がらせだったらしい。
久しぶりに見た市川先生は少しやつれた顔をしていた。
「時間あるか…?どうせ一人で暇なんだ。話し相手になってくれ」
先生の病室へ行き、ベッドの傍に椅子を持っていき座った。
「久しぶりだな。清水、染谷。あれから随分経つなぁ」
「先生は何でこちらへ?どこか悪いのですか?」
「あぁ、まあちょっとな……」
詳しく聞こうと思ったけど、はぐらかされてしまった。
「今は何をしているんですか?まだ教職を?」
「お前らが知っているかわからないが、ちょっと揉め事があって辞めたんだ」
「女子高生の……」
「知ってるんじゃないか……それなら話が早い。
あの後しばらく教職を辞めて製造のアルバイトをしていた。でもまだ教職を続けたくて再就職先に塾の講師を募集しているところがあってそこに勤務していた。
けど、俺のあの噂を知っていた親がいて、クレームが来て退職することに。そして職探しをしていたときに急に倒れて検査の結果……腫瘍が見つかってな……」
「腫瘍……ですか……」
「そんな難しい手術ではないとは聞いているから、そんなに心配はしてない」
「このこと、ご家族には……」
すると先生の顔色が曇った。
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