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春 Ⅶ
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小柄な男に跨るメガネの男の隣に立つ、これまたイケメンな赤髪のイケメンは暴れだした小柄な男をチラリと見たを後俺に視線を移すと、わざと大きく舌打ちをした。
「ねえ誰?この人」
赤髪の男の隣にいた何とも無駄に爽やかなイケメンが、俺をじっと見ながらメガネの男に話しかけた。
「さあ───知らないですね。にしてもタイミングが悪い、せっかく姫と私が愛し合おうとしていたというのに···まったく、顔が平凡なら頭はミジンコ以下ですか、空気も読めないんですか君は?」
小柄なやつに跨ったまま俺を愚弄するインテリクソ野郎。
オイオイコラコラ···さすがの俺も怒るぞ···?
フッ、ミジンコ以下の俺を怒らすだなんてたいしたやつじゃないか!(ヤケクソ)
つーか人に跨りながらそんなこと言われてもな!全くもって心に響かないよ!大丈夫かオイ!
「あー···えっと、とりあえず今日のところは出ていってくれませんか?俺···今日からこの部屋だからさ。···それに、そいつも嫌がってるみたいだし」
俺はなるべく彼らと目を合わせないように部屋の中に入ると、壁に取り付けてあるスイッチを押して、薄暗い部屋の電気をつけた。
「フン···まあ、これからはいつでも機会はありますし、ね?」
このメガネさては生粋のド変態だな。堂々と再犯発言をしたインテリ変態を引き気味に睨みつける。が、相手は楽しそうに顔を歪ませるだけで一向に俺の視線に気づかない。馬鹿なのかコイツ。人生楽しそうだな。
だってなんか俺に目もくれずに小柄なやつのこと見てニヤニヤしてるし、イケメンでもキモイもんはキモイんだな!よかったー!
赤髪の目つきの悪い男だけは何か言いたそうな顔でこちらを見ていたが、なんか怖いし、面倒くさそうなので気にしないでおく。すまんな強面くん。
しばらく沈黙が続いた後、無駄爽男が「じゃあまたね」と言って部屋から出ていき、他の男達もそれに続いてるそさくさと部屋を出ていった。
──いや、何だったんだろうか···
あまりにも突然で且つ現実離れしすぎた出来事に、開いた口が塞がらない。
「···あ、あの!!ありがとう!!あいつら、俺の話を全然聞いてくれなくてッ!」
小柄な男は、俺を見て顔いっぱいに笑みを浮かべ、ズイっと俺の前に手を差し出してきた。いやなんか近い。近い。
「俺の名前は花ノ下姫!そ、その、ほんとにありがとなッ!」
随分と可愛らしい名前だなぁと思いながら俺はその手を握り返した。
そいつ···花ノ下の手は俺とは違い小さく、いや俺も決して大きいほうではないけど、とにかく並みの男とは違うのは分かる。
「俺は前川宗太、こちらこそ今日からよろしくな」
改めて見ると、花ノ下の顔は校門前で見た女子高生っぽい奴らと似ているが、多分そこらとは比べ物にならないほど可愛い部類の顔なのだろう。男に可愛いもクソもないと思うけど
女の子だったら良かったのに。まあもし相手が女の子だったら俺はこうやって手を握ることも話すことさえできないけども···!
「···ま、前川!えっと、その···よろしく···ッ!!」
花ノ下は俺の顔を見て何故か少し顔を赤らめ向日葵みたいに眩しく笑った。
なるほど···その笑顔120円とはこういう感じかなのだろうか。いいじゃないか。男だけど。
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