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春 Ⅸ
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「あーそっちじゃなくてこっち来い」
先生の言う方へ行くと、おそらく一般的には応接室と呼ばれているであろう····部屋?があった。
いやだってこれ···いくら何でも広すぎる。
え?俺これ入っていいよね?なんかとてつもなく輝いているんだけど大丈夫?足洗ったほうがよくない?
「前川、お前の思ってる事は分かる。が、とりあえず黙って入れ、そして俺の話を聞け」
「はーい」
「···あ、そうだそうだ。お前の家は金持ちか?」
「すごいストレートな質問っすね。べつにそんなことはないと思います。ていうか違いますね。でも母の家が金持ちです」
「そうか。じゃあ先に言っとくが、ここじゃ外の常識は通じないぞ」
そう口にした山田先生の顔は、実に真剣味を帯びていた。
が、如何せん俺は理解力が低いも低い、猿みたいなやつなので全く察することが出来ない。すまないなダーヤマ。詳しく頼む。
「それは魔法学校的なアレですか?それとも監獄学園的なアレですか?」
「どちらかと言えば後者だがボインのネーチャンはいねぇぞ」
「それもう別物ですやん···」
と言うかまあここ男子校だから分かりきってたんだけども。
···え、ちょっと待って女の先生もいないの?···うそだろ···今から3年間どこ見て過ごせばいいんだ···空か···?空しか残されてないのか俺には···
───いや、というか。外の常識が通じないってのはどうなんだ。
ボインのネーチャンの鞭打ちがガチムチによる鞭打ちになるってことか?いや流石にそれはないな。絵面的に無理。
「まあガチムチによる鞭打ちはありえるがな」
「あるんかーい!」
ボインのネーチャン無くてガチムチはあるんかい!もうやだこの学園ほんとノンケに優しくない!
「···ここは都市からかけ離れた山奥の学園で、全寮制の男子校。幼稚園からの完全エスカレーター式で、外部生徒は珍しい。と言うより、ほぼ皆無だな」
で、その外部生が俺と花ノ下と。
そりゃあ不思議な目で見られるわ···って言うかどちらかと言うと軽蔑的な眼差しだったけど。
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