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理事長
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会長との事件の後、生徒会室からはるばる教室に戻ってきた頃には既に授業が始まっていて、その中にはダルそうに授業を受ける広海と、机に頬杖をついて黒板を見る高見の姿もあった。
「あ、帰ってきた」
「おかえりんごー」
「お、お前らこの野郎···!」
「ん?おお、前川やっと帰ってきたか。じゃ、お前らがぶちまけたバケツの水拭いてこい」
「え?!ちょ、まっ、俺だけ?!」
広海と高見に文句の一言でも言ってやるためずかずかと教室の中に入ると、山田先生がチョークを片手にやってきて、用具入れに入っていた雑巾とバケツを俺に手渡すと、乱雑に廊下に放り出された。
だから投げるな。なんなんだ。この学校のやつは人を放り出すのが好きなのか。
「なんで俺だけこんな目にあうんだよ···」
廊下に出来ていた大きな水溜まりに雑巾を投げつける。
拭いてはバケツに絞って、また拭いてを繰り返しながら、昨日から今日までに起こったことを思い返す。
····いや、濃すぎだろ。
「はあー···高校生にして新しい人生の始まりみたいだな····グッバイ平凡ライフ····こんちわドタバタゲイライフ····」
「お前なにジジくさいこと言ってんだ。さては年か?」
「えーやだなぁ!ジジイに言われたくないでって痛ッ?!」
「ん?だ、れ、が、ジジイだって?」
いつのまにか俺の背後にしゃがみこんでいた山田先生が、俺の頭を片手で捻り潰す。いやいやいやメシメシ言ってるからね。とんでもない音でちゃってるからね。
「イ゛ッデェ!!ご、ごめんなさいほんともう二度と年齢の事でいじりませんからァ!!」
「ははは、当たりめぇだろ。次言ったらお前の頭皮に髪ははないと思えよー?」
「ヒェ...」
なんだその前衛的な脅し方は。怖すぎるだろ。毛根がキュッてしたわ。
「あ、そういやどうしたんですか?授業でしょ?」
「あー···それがな。理事長から、前川宗太を連れてこいって連絡が来て」
「···───え、理事長?」
理事長って、あれだよな?
教頭<校長<理事長の理事長?小中と校長先生にさえ呼び出しなんてされたこと無かったのに
「えええ!!いいいや俺何もしてないですし!!飲酒も喫煙もしてません!ちゃんとルール守ってます!!やだぁ転入二日後で学校辞めさせられるーーーッ!!!」
「っわ、なんだ突然。落ち着け。····あー、うちの理事長はそんな感じじゃねぇし、大丈夫だろ。それにうちじゃ飲酒やら喫煙やらは日常茶飯事だしな」
「···あっそういやそうだった」
僅か2日でこの学園がただの学園じゃないことは痛いほど体験したので一瞬で不安が消え去る。
そうだよな、俺が呼び出し食らうなら花ノ下なんてエブリディ理事長室みたいなもんだもんな。ウケるウケる。
「ふむ。よし!じゃあ行きましょうか!理事長室へ!!ゴーゴーレッツゴー!!」
「突然元気だな」
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