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怒れる白 1
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リツが僕に付きまとうようになって、二ヶ月程過ぎた頃、学校内の各家の人狼達が動き始めた。
ある日、いつもように僕が許可していないのに、リツが僕の隣で明るく喋りながら駅へ向かってる時だった。僕達の前に、同じ学校の制服を着た三人の男が立ち塞がる。リツが咄嗟に、僕を背中に隠して三人と対峙した。
「あんた達、白蘭家の者だろ。何か用?」
「用があるからおまえ達の前にいる。俺の顔くらいは知ってるだろう。俺は、白蘭(びゃくらん) シロウ。なぁ、去年はお互いの存在は認識していたが、関わらないようにしてたじゃないか。なぜ、今年はおまえ達、青蓮と赤築が、仲良くつるんでるんだ?まさか、二つの家が手を組んで、白蘭や黄麻を潰そうとしてるんじゃないだろうな?」
表情一つ変えず、淡々と語るシロウと言う名の白欄の人狼。彼のとんでもない勘違いに、僕はイラだちを露わにして言った。
「仲良く?冗談はやめてくれ。こいつが勝手に僕につきまとってるだけだ。僕はこいつと仲良くもないし、手を組んでもいない。僕としては、去年と同じく、どの家とも関わりたくない」
僕の言葉を聞いて、勢いよく振り向いたリツが、とても悲しそうに顔を歪めた。
「俺は…、ルカとは関わりたい。赤築とか青蓮とか関係なく、ルカ個人と仲良くしたい。ルカ…、俺はどうすればいい?どうすれば友達だと認めてくれる?」
「友達なんていらない。ねぇリツ、あんたが僕にしつこく構うから、白欄が現れて、穏やかな学校生活が乱されようとしてる。そのうち、黄麻も出てくるかもしれない。僕はね、目立たず静かに過ごしたいんだ。だからもう、僕のことは放っておいてくれないかな」
「ルカ…」
シロウが一歩こちらに踏み出し、リツに顔を近づける。
「なんだ。赤築の人狼、おまえが勝手に懐いてただけか。あれか?物珍しさからか?」
「なに?物珍しさって」
「おまえも聞いたことがあるだろう。青蓮の、異端な人狼の話…」
「それが何?」
「そこにいるそいつ、青蓮 ルカ。そいつは、名門青蓮家の生まれでありながら、狼に変身することも、ましてや尻尾を出すことすら出来ないという噂だ」
「チッ…」と僕は、小さく舌打ちをする。
ーーだから、そんな出来損ないの僕のことなんて、もう放っておいてくれ。
顔を後ろに逸らせた僕を見て、リツは僕がショックを受けたと思ったのだろう。僕の右手を強く握りしめて、怒りを含んだ声を出した。
「おまえ…、ルカを侮辱する気か?俺の大事なルカを傷つけたら許さねぇ…」
「「はぁっ?」」
思わず出た疑問の声が、シロウのそれと重なる。
「ふ〜ん…」と呟いたシロウが、いやらしく笑いながら僕を見た。
「おい、青蓮 ルカ。こいつ、おまえに相当入れ込んでるみたいだな。おまえ、変身出来ない自分の番犬をさせる為に、その綺麗な顔で赤築を誑かしたのか?」
「…勝手にほざいてろ。ゲス野…」
「…っこんの、クソがぁっ‼︎」
突然、息が詰まる程の激しいオーラを出したリツが、叫びながらシロウの顔を、思いっきり殴り飛ばした。
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