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戸惑う青 3
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ロウに着替えさせてもらって、僕の部屋に連れて行かれた。僕をベッドに置いて部屋から出て行こうとするロウに、声をかける。
「ロウ、肩の傷はロウが治してくれたし、まだ眠くない。リビングに行きたい」
「傷が治ったとはいえ、疲れたでしょう?すぐに食事を持って来ますから、安静にしてて下さい」
「嫌だ。まだ寝たくない」
「…ふっ、あなたは私にだけは我が儘を言う。仕方ないですね。でも、ソファーが汚れてるので拭かないといけません。綺麗にして来ますので、少し待っていて下さい」
「わかった。終わったら呼んで」
「はい」
なぜかとても嬉しそうに笑って、ロウは部屋を出て行った。
ーーロウは、僕が無茶を言う時ほど、嬉しそうにする。もしかしてマゾなのかな…。
やっぱりロウは変な奴だ、と横向きに寝転んでいた僕は、ゴロリと仰向けになった。
白い壁紙の天井を見つめて、もう一人の変な奴のことを考える。
ーーリツも変な奴だ。僕は青蓮でリツは赤築だよ?それに、まだ知り合って数ヶ月だし、僕はリツに冷たい態度しか取ってない。なのに、俺の大事な…って。リツは、今まで僕の周りにいた人狼とは全然違う反応をするから、正直困る…。
目を閉じて、燃えるような赤毛の狼の姿を思い浮かべる。「すごく綺麗…」と呟いたその時、ドアが開いてロウが戻って来た。
無言で僕を抱き上げて部屋を出る。リビングまで運ばれながら、『自分で歩くと言ってもロウは聞かない』と小さく息を吐き、大人しくロウの胸に頭をつけた。
綺麗に拭かれたソファーに降ろされて、本を手渡される。首を傾げてロウを見ると、僕の頰を撫でて微笑んだ。
「それを読んで待っていて下さい。すぐに食事を用意します」
「うん…」
僕は持たされた本に視線を落とす。そんな僕にクスリと笑って、ロウがキッチンに入って行くのをぼんやりと眺めた。
ーーこれ…ロウの本じゃん。僕はこんなの読まないし…。
再び本に視線を落として、パラパラとめくる。ロウが好んでよく読んでいる純愛物。一人の人だけを思い続ける話。
ーー見た目はあんなに男らしいのに、中身はロマンチックで乙女…。
僕はなんだか可笑しくなって、知らず知らずのうちに声を出して笑っていた。
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