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橙色に絡まる罠 9
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身体を捩ってリツの腕を振り解く。僕は、拳を強く握りしめて二人を睨みつけた。
「これは、どういうこと?」
「あっは、やっぱルカ君っていいねぇ。その目、ゾクゾクするよ。ほら、前にルカ君が変身出来るかどうかの実験、途中で邪魔されちゃったじゃん?だから、その続きをすんの」
ハルトが僕を見て、楽しそうに笑う。
「だったら、僕だけを襲えばいい。ロウを離せ」
「ん〜、そういう訳にもいかないんだよねぇ。この白蘭 シロウは、こいつに恨みがあるみたいだよ?そういう僕も、恨みがある。だってさ、前にルカ君を襲った後に、こいつにボコられたんだぁ。結構、痛かったし。それに、そこにいる赤築、そいつも恨みがあるって」
「は?リツが?」
勢いよく振り向いた僕から顔を逸らして、リツが苦しげに声を絞り出す。
「俺は…、本当にルカが好きだ。初めてこんなにも誰かを好きになった。ルカだって、俺に心を開いてくれてたじゃないか。きっと…青砥先生がいなかったら、俺の方を向いてくれた筈だ…。この二週間、そんなことをずっと考えていたら、青砥先生が憎くなった…。そんな時に、こいつらに話を持ちかけられて…。協力してくれたら、青砥先生をルカの前から消してやるって言われて…」
「リツ…」
リツがビクンッと肩を震わせて、恐る恐る僕を見る。
僕は、自分でも驚く程に落ち着いて、静かに話し出した。
「リツ…リツの気持ちを振り回して、リツをそこまで苦しめたのは僕だ。ロウを恨むのじゃなく、僕を恨んで欲しい。それに、ロウが僕の前から消えたら、僕も消えるだけだ。僕とロウが離れることは決してない。リツ…、そんなにまで思い詰めさせて、ごめん」
「…っ、…ルカ……」
リツの赤い瞳が揺れて、涙が頬を伝う。
僕は、リツをそっと抱きしめて、「ごめん…」と背中を撫でた。
リツが、嗚咽を漏らして涙を流す。リツの心を傷つけたのは僕だ。僕が、その報いを受けなければいけない。
しばらくして少し落ち着いたリツから離れると、僕は二人に向き合った。
「…ロウに何をするつもり?」
「腹に穴を開けるつもり。何個目の穴で君が変身出来ると思う?楽しみだね。でも早く変身しないと、死んじゃうかもよ?」
「僕ではなく、なんでロウを狙う」
「ふふん、だって、聞いたよ?ルカ君とこいつは、主従以上の仲なんだって。ルカ君はきっと、自分がどうなろうと気にしないでしょ?だったら、大事な人を傷つけたらどうなるのかなぁ…と思ったんだ。ふふっ、今日は、記念日になるよ。こいつの命日と、ルカ君の変身記念日!あははっ」
ハルトが大きく口を開けて、高笑いをする。それを、シロウが渋い顔をして見た。
「おまえは悪趣味だな。俺は、青蓮のこいつらが俺にひれ伏せれば、それでいい。それに、血で汚れるのは嫌だ。だから腹に穴を開けるなら、ハルト、おまえがやれよ」
「え〜…、僕も汚れるのは嫌なんだけど。でもまあ、いっか。やられた分は倍にして返さないとね。どうしよう。力を入れ過ぎて、一撃で殺しちゃうかも…っ」
「それならそれで、早く済んでいい。さあ、時間の無駄だ。早くやれ」
「ちょっと…っ、僕に命令しないでくれる?でも、そうだね。じゃあルカ君、よっく見ててね」
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