アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
黒の一族 5
-
あれ程痛かった頭痛もすぐに治まり、料理が美味しいこともあって、僕は出された分を全て食べた。
食後のホットミルクティーを飲みながら、ダンにお礼を言う。
「ご馳走さま…。美味しかった。ありがとう…」
「それは良かった。もう頭痛は大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫」
僕の受け答えを聞いていたトウヤさんが、フッと笑う。
僕が首を傾げて見ると、飲んでいたコーヒーのカップを置いて、頬杖をついて僕を見た。
「ルカは、可愛いな。おまえが助けたいと願ったあの青蓮の人狼、あの彼は、おまえのことを大事に思っていたのだろう?彼の気持ちが何となくわかる気がする」
「ロウ…は、僕が生まれた時からずっと傍にいたから…。それに、僕は可愛いくない…。僕は、自分勝手で醜い。自分のことばかり考えて、大事な友達を傷つけた…」
「自分のことを一番に考えるのは、当たり前のことだろう?何も気に病むことなどない。昨日も思ったが、おまえは優し過ぎるな。もう少し冷徹になれ。でないと、難しいかもしれん」
「何の、こと?」
「ルカ様、お食事がお済みでしたら、シャワーを浴びませんか。こちら、タオルとお着替えです。ご案内します」
トウヤさんが何を言ってるのか、よくわからない。もっと詳しく聞こうと口を開きかけたところで、ダンが口を挟んできた。
僕は、ダンに差し出されるままにタオルと着替えを受け取る。そして、付いて来いとばかりに歩き出したダンの後ろに付いて行く。
部屋を出る時に振り向いて、トウヤさんに小さく頭を下げる。
トウヤさんは、早く行けという風に手を振って、再びコーヒーのカップに口をつけた。
「こちらです。お湯を張っていますので、どうぞごゆっくり」
「あ…、ありがと…」
僕を洗面所に案内すると、ダンは頭を下げて出て行った。
僕は、タオルと着替えを棚の上に置いて、汗が染みついた制服のシャツとズボン、下着を脱ぐ。脱いだ物を手に持って、少し迷った挙句、洗濯乾燥機の中に放り込んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
74 / 118