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黒の一族 6
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「肝心なことが、まだ何も聞けてない…」
頭と身体を丁寧に洗って、今はバスタブに浸かっている。少し熱めのお湯が気持ち良くて、身体の隅々まで癒される。
僕は、目覚めてからのトウヤさんとの会話を思い返して、ポツリと呟いた。
ーー僕を連れて来て、どうするのかと不安だったけど、乱暴に扱われることは無くて、丁重に接してくれる。だからこそ、トウヤさんの目的が何なのか、すごく気になる。
バスタブの縁に頭を乗せて、愛しい名前を口にする。
「ロウ…。今、何してる?身体は…大丈夫?…ロウ、会いたい…」
ロウの名前を口にして、僕を甘く見つめるロウの深い青の瞳を思い出したら、胸が締めつけられて苦しくなり、涙がポロポロと頰を滑り落ちた。
ーー僕が何の役に立つのかわからないけど、早く役に立てば、解放してもらえるのかな…。
お湯をすくって顔を洗うと、バスタブから出て鏡の前に立った。
「あ…」
鏡に映る、僕の胸からお腹にかけてのおびただしい数の赤い痕。身体を反転させると、背中にもびっしりと付いている。
僕は、赤い痕一つ一つを指でなぞった。これは、ロウの執着の証。僕が、ロウのモノだという印。
やっぱりロウと離れるのは嫌だ。ロウが傍にいないとダメだ。ロウに会いたい。ロウに触れたい。
トウヤさんが僕を連れて来た理由を聞いて、早く僕がやるべきことをやって、それが終わったら帰してくれるようにお願いしよう。そうと決めたら早く行動しなければ。
僕は大きく頷いて、お風呂場のドアを勢いよく開けた。
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