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第八話 異変3
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「さ、乗って。」
俺は意識が朦朧とする中、ミズキさんの車の助手席に座った。
ミズキさんは先に開けてくれて座席を少し倒してくれていた。
「あ、ありがとうございます…」
そのシートは高級なのかとても柔らかく、心地よかった。
「あ、あの…俺の家、ほんと近くなんで…」
俺の住んでいるアパートはバイト先の駅まで徒歩20分の場所にある。
そのアパートの近くのスーパーまで送ってもらおうと、俺はスーパーの名前を言いかけた。
しかし、ミズキさんは俺のアパートの方向と反対に運転していく。
「あ、あの、ミズキさん?俺の家こっちじゃ、」
「突然で申し訳ないが、今日は俺のところに泊まってくれないか?」
え、ミズキさん何言って…
「すまないが、今の君の状態なら、誰にいつ犯されてもおかしくない。」
犯される?どういうことだ?
ミズキさんは運転をしながら、驚く俺をよそに淡々と話し続けている。
「俺は知人の医者に特別処方されている抑制剤を服用しているから問題ない。それよりも、君一人でいる方が確実に危険だ。だから、」
「ちょっと待ってくださいよ!なんですか、いきなり。俺には全く話が分からないんですけど。」
俺はミズキさんに大声をあげていた。ちょうど信号は赤にかわり、それまで前を向き、表情のわかりにくかったミズキさんは、俺の方を向いた。
なぜかその目は困惑や苦痛を連想させるような雰囲気を帯びていた。
「どういうことですか?説明してください。」
「…昨日、悠希君に出会ってから微かな違和感を感じた。君はβであるように見えたがなぜか君の奥の方で微かにΩの香りがした。今日、改めて君と会ったら、君は確実にΩの香りを身にまとっていた。」
「…は?」
自分でもどんどん呼吸が荒くなるのが分かった。
まさか、ありえない…
「君はその体調不良を単なる風邪か何かと思っているのかもしれないけど、それは違う。」
「じゃあ、何だっていうんだよ!」
もう俺は泣きそうだった。もしかすると、もう泣いていたかもしれない。
「君のそれは、間違いなく発情期だ。」
うそ、だ…
βの俺に発情期なんて来るはずがないのに。何かの間違いじゃないのか。
「それは、ミズキさんの勘違いじゃないですか?お、俺はβだ。発情期なんて来るはずがない!」
「だけど、君のその甘い香り、蒸気した体、淫靡な目つきは、確実に俺たちを誘っている。」
「そんなわけない!!」
うそだ!…信じたくない。
あまりにもありえなさすぎる話に混乱していた。
それに俺の体は限界を迎えていた。
進む車の中、俺は底知れぬ恐怖を抱いて、そのまま意識を手放した。
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