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ない、おれの服が無い!!
ない、ない、ない、ない!
どこにも無い!
先にシャワーをあがらせてもらって、用意してあったタオルを使い、こそこそと服を取りにベッドに戻るが、落ちているはずのおれの服が消えて無くなっていた。
脱衣棚を見落としたのかと確認するも、無い。
絶対に風見さんからイタズラされていると確信した。
静かに唸りを上げる洗濯機を睨みつける。丸い窓を覗き込んでいると風見さんがあがってきた。
「ハハッ!バレた?!」
「かーざーみーさーんー!!!」
ぽかぽかと濡れた胸を叩いて抗議する。
痛い痛いと笑いながら言っても、信憑性ないんだから!
「ブフッ・・・仕方ないなぁ、俺の服を貸してあげよう。小夜は1番から3番で何を選ぶ?」
そう言って取り出された服は
1.白のTシャツ
2.白のワイシャツ
3.黒の前掛け
「いや、オカシイでしょー!」
「ブフッ、俺は3番だな!」
「それ服じゃないし!!第一、フンドシみたいじゃん!」
「えー、だって小夜の可愛い乳首も見れるし、後ろの隙間からキュートなお尻も見えるのって、一石二鳥じゃん。」
「意味わかんないしッ!」
ぎゃいぎゃいと言いあいをし、結局落ち着いたのは1番と3番の合わせ技だった。
「ブフッ」
「そこ!笑わないッ!」
ベッド乗って背中を壁に預けた風見さんは、ぷんすかしているおれの腕をグイッと引いた。
「機嫌直して?」
抱っこされてヨシヨシされると、怒っていても許してしまう、おれ。
悔しいけど風見さんは、やっぱり魔法使いなんじゃないかと思う。
パンツを履いてないせいで、下がスースーする。ワンピース状態のTシャツをせめてフワフワ浮き上がらないようにと前掛けをかけたが、この不安定というか、安心感のない感じはなんなんだろう。心許ないって、こういうときに使うってことを実感した。
こんな格好で真剣な話も変だけど、気になって仕方ないので今後の話をしていく。
風見さんの言い分はこうだ。
「家賃、光熱費、洗剤とかの必要経費は俺の支払い。食費はお互いの共通の財布を作って足りなくなったらお互いに同じ額を追加する。ほかに必要になる経費については、様子を見て按分(あんぶん)。今回の家具は必要経費だから、俺の支払い。」
「家賃とか光熱費も半分じゃないとおかしくない?」
「おかしくない。1人で住んでいても払っていたお金なんだから、ふたりで住んでも一緒。だいたい小夜、しばらくはアパート借りっぱなしだよね?親御さんもそこに住んでいると思ってるだろうし。そこを引き払うときに、改めて考えよう。」
「じゃあ、せめて家具!半分こ。」
「ダメ。ベッドは俺1人で寝て、俺の体の上に毎日寝かせるし、食卓だって、おれの膝の上でご飯食べさせるよ?」
「ぶー!風見さん、横暴。」
「なんとでも言いなさい。家具は俺のだから、俺が払うの。」
無茶苦茶な理由を述べて、ニヤリと笑う風見さん。
口では勝てる気がしなくて、早々に諦めた。
「あ、そうだ。家事を頑張るとか無しね?お互い出来る方がやるってしよう。まぁ、料理は無理だけどね。」
「でも。」
「でもじゃないの。家政婦がほしくて小夜に来てもらうんじゃないんだよ?お互い対等の立場で生活しないと無理が出てくる。将来、小夜が専業主夫になったら、その時はよろしくね。」
「せ、せんぎょうしゅふ・・・。」
ちょっと憧れる。
「他に聞きたいこととかある?」
「聞きたいこと・・・あ!風見さん、生年月日教えて。」
今更感があるけれど、聞こうと思いつつ甘い雰囲気に流されていつも聞けずにいたのだ。言われて風見さんもハッとしたようだった。
「小夜、テーブルの財布とメモ用紙取って。」
そうして見せられたのは、風見さんの運転免許証だ。澄ました顔で写っている。
ぷぷ、可愛い。
おれも財布から運転免許証を出した。
その間に風見さんは、もってきたメモ用紙に何やら書き込んでいる。
「まずね俺に何かあったときのために、実家の住所、電話番号、親の名前ね。会社の電話番号は名刺に書いてあるから大丈夫だよね?特にアレルギー無し。血液型はO型。大きな病気にはなったことない。あとは・・・かかりつけ医は、駅前の内科。診察券はこれね。」
凄くセンシティブな話をしてくれた。信頼してくれていることがわかって嬉しい気持ちと、おれもちゃんとしなければという気持ちで緊張してくる。
「お、おれも書く!」
同じように説明して、風見さんにメモを渡した。
ありがとうと微笑まれて、凄く嬉しかった。
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