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風見も続いて服を脱ぎ、浴室の扉を開けると、小夜が念仏のように九九を唱えていたから様子を見ていた。
4の段・・・これ、最後まで唱えるつもり?
「「にじゅーはち」」
7の段まで我慢したが、一緒に唱えてみることにした。
小夜は化けものを見たかのように目をまん丸にして、言葉にならないのかぱくぱくと口が開いては閉じている。
「小夜、なに唱えてんの?」
「く・・・九九です。」
腰が引けている小夜。及び腰という言葉を具現(ぐげん)した状況に、風見は首を傾げた。
いったい何を隠しているのか、さっぱり見当がつかない。
「昼間、何かあったの?」
シャワーヘッドを受け取って、小夜の体にお湯を掛けていく。すぐにピンクに色付く体は湯気の相乗(そうじょう)効果(こうか)もあって酷く艶(なまめ)かしい。
ううん、と小さくかぶりをふる小夜にデコピンした。何もないわけがないのだ。
「内緒事は無しだよ?」
痛いッ!と恨(うら)めしそうに見上げる小夜に、もう一度デコピンの真似をしてみせると、シュンと小さくなった。
「何があったの?」
優しく濡れた頭を撫でて慰めると、小夜は覚悟を決めたかのように硬い表情で顔をあげた。
息を大きく吸い込んだ。
「あのね、調べ物をしてたの。」
小さな小さな声で、俯きながら話しだした。
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