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・・・飲み過ぎて食べ過ぎた。
結果、想定通りの状況になった俺たちは、一旦ホテルで昼寝をしてから、夜に元気なら もいわ山に行こうと計画している。
とりあえず、ホテルに戻るにあたって・・・。
「小夜、そこの店に寄りたい。」
「おっけぇ。」
赤くなった顔で よろりと歩く小夜。
ううーん、無防備すぎて危険だ。
「歩くのキツイ?」
「んーん、眠いだけ・・・お腹いっぱい。」
ふぁあと あくびの止まらない様子に、ちょっとしたスパイスをブチ込むことにした。
「小夜ー、買い物付き合ってくれる?」
「んー、おっけぇ。」
目を擦る小夜の手を引いて店内に入る。
程なく欲しいコーナーが見つかった。
のれんをくぐった。
------------※ ※ ※------------
ぼー・・・と手を引かれて店内に入る。
さっきから あくびが止まらずに涙が出てきていた。
目をこすりこすり、風見さんに付いていくと のれんをくぐった。
「ん?」
顔をあげると、そこは真っピンクなアダルトコーナーで、一気に目が覚めた。
「かかかかかっ」
「変な笑い方だね?」
ニヤリと笑う風見さんは余裕しゃくしゃくで。
「ちがッ! 風見さん、ココ!」
「ん?買い物に付き合ってくれるんでしょ?」
オーノォ〜ゥ。
「おおおおお、おれ、こんなことだとは、」
人が入ってきたから、声をひそめる。
「こんなことだとは、思ってなかったんだって!」
「大丈夫、年齢制限クリアしてるから。」
「そうだけど、恥ずかしい!」
シレッとした顔で風見さんが指差した。
「どんなのが好み?」
「風見さんっっ」
もぉ、棚なんて見れない。
ラブグッズが並んだ棚や、エッチぃDVDが所狭しと並んでいて、なんに使うのやらサッパリ分からないものが陳列されている。
酔いなんて一気に吹き飛び、羞恥のあまり倒れそうだ。
「おれ、無理だぁ。」
「じゃあ、適当に買うよ?」
飄々(ひょうひょう)と商品を選んで、飄々とレジに持っていく風見さんは、強い。
多分、どんな苦しい事にも負けない強さを持っているに違いない!
黄色のレジ袋に詰められた商品をみる事が出来ずに、おれは真っ赤な顔を伏せた。
------------※ ※ ※------------
タクシーでホテルに帰ってきたおれたちは、部屋に戻ると いわゆる痴話喧嘩をしてしまった。
「あんまりだよ、風見さんっっ」
「何が?」
「恥ずかしい、おれ。」
必死で訴えた。
「えー、だってふたりで使うんだよ?ふたりで選んだっていいじゃん。」
うぐ。
「そ、そうかもしれないけどっっ」
「無かったら、出来ないよ?」
「だけどだけど!」
「んー、じゃ、小夜はこれからずっと俺だけに買わせるの?」
「え・・・。」
「ふたりの事なのに、俺だけが用意するの?」
・・・。
風見さんの言うとおりだ。
風見さんだけが、ずっと準備するのはおかしい。
無くなりそうな事に気付いたら、どちらかが用意したら良いことだ。
「・・・ごめんなさい。おれが間違ってました。」
猛省した。
泣きたい。
「責めてはないんだよ。・・・俺こそごめんね。」
------------※ ※ ※------------
そう、ただ揶揄(からか)うための材料だったんだ。
別に買うのは苦じゃないし、忙しければ通販でもいいし、小夜に使うのは俺だから、中身の減り具合も俺が把握する。だから、俺がずっと用意して良かった。
ちょっとした意地悪だったのに、ここまで凹まれると、どうしたら良いのか分からなくなる。
「ごめんね、小夜。仲直りしよう?」
両手を広げて、おいで。と誘った。
ベッドの端に座った小夜が おずおずとやってきた。
「ごめんね、許してね?」
上目遣いで許しを請う小夜に、笑顔を見せた。
「そもそも怒ってないよ。仲直りのキスをしよう?」
「・・・うん。」
お互いの頬を挟んで、キスをした。
「ほら、仲直り。」
「うん。仲直り。」
ギュッと抱き合って、仲直りのセレモニーをした。
ずっとずっと仲良しでいるために、俺たちで作った儀式だ。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
小さく頷いた小夜に微笑んだ。
「じゃ、楽な格好に着替えて、ひと眠りしよう?」
「うん、ロープウェイに乗るんだよね。」
「そ。お互い元気ならね?」
旅行は疲れる予定は立てない。
予定をクリアするのが旅行じゃない。だから日程が決まっているツアーは苦手だ。
ざっくりは予定しても、実行するかしないかは、その時次第で充分だと思っている。
お互いジーンズと靴下を脱いで、冷たいベッドに潜り込んだ。
小夜が俺の腕の中に入り込んできた。
・・・そう、いつもの定位置。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
満腹のお腹とアルコールの入った体は、すとんと眠りに落ちた。
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