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優しくて苦い夢を見た
優しくて大好きだった母さん。
柔らかく抱きしめてくれたその手は確かに温かかった。
「一止、ほしいものはある?ニコッ」
「ううん、ないよ、お父さんは?」
「お父さんは今大事なお仕事をしてるの」
「お父さんはいつもお仕事頑張ってるね」
「そうね、お父さんは
イチトの為に頑張ってるのよ」
「お父さんみたいになりたいなぁ」
そういうと母さんは哀しそうな顔をして
キツくキツく抱き締めてきた
いつからだ、その手を優しいと思えなくなったのは……
「母さん、苦しい」
「ごめんね、」
「ねぇ、どこに行くの?母さん」
振り返らず、段々遠のいていく母さん
もう、母さんの姿さえも見えないよ
「置いてかないで……」
そんな俺の小さな願いは、無惨にも
散ってしまった
それでも精一杯、手を伸ばした
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