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「どうしたの?」
心配そうに、俺の顔を覗き込んでくる。
「あ、あぁ、」
曖昧に返事をすると、不思議そうな顔をされた。
てか、
「それ何?」
ヤオさんが右手に持ってる紺の弁当箱、
ヤオさんはいつも黒だったはず……
「イチト君の分だよ?昨日買ってきたんだよ。」
と、嬉しそうに笑いながら言うが……
なんで?俺の分?
「イチト君の分、作るって言ったでしょ?」
ちゃんと食べてねと言われ渡される。
それを拒否するわけにもいかず受け取る。
「さ、イチト君も着替えて。」
そう言って制服を渡される。
ヤオさんもと言おうとするといつ着替えたのか、もうスーツを着ていた。
「送るから、早くね。」
着替え終わると、手を引かれる。
「いいよ、歩くから…」
「えぇ、やだ。」
なにがやだだ、こっちがやだ。そんなの誰かに見られたら言い訳できない。
その後、ヤオさんには勝てずいい具合に言いくるめられ、目の前には俺でも知っているメーカーの高級車がある。
後ろに乗ろうとすると、
「前でしょ?」
「いや、後ろでいい…」
「お前には、隣に座ってほしいんだけど。」
そう言って絶対に引かないヤオさんに、
「……いつか……俺が、
ヤオさんを好きになって、
その時にヤオさんもまだ俺を好きだったら、
前に座らせて…?」
ヤオさんの目を真っ直ぐ見てそう言うと、ヤオさんは少し考えた後、
「フフッ、分かった。」
いつもみたいに綺麗に笑って、了承してくれた。
返事を聞いて、後ろに乗る。
こんなずるい約束に、了承してくれるヤオさんはやっぱり優しい。
「イチト君、約束ね。」
こんな約束、いつもなら絶対にしない。
「あぁ、約束だ。」
そんな事をしたのは、ヤオさんに少しだけ期待したからなのかもしれない……
気がつくと、バレない学校の坂の下の喫茶店の前で止まっていた。
周りを確認し車を降りるとヤオさんは、
「お弁当ちゃんと食べてね?」
「ん、分かった……」
「フフッ、また後で。」
と、頬にキスをして行ってしまった。
坂を上って、学校に向かう。
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