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あえか
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酷い倦怠感で目を覚ます。
起きた瞬間、やってしまった…とため息をついた。
「伶(れい)、そろそろ起きないと遅刻すんぞ。
今日一限からだろ?」
「…!うん、もう起きる〜」
ガチャっと荒々しく寝室のドアを開けたのは、恋人の匠真(たくま)。
確かにそろそろ起きなければ遅刻してしまう。
だが、なんせ体調が最悪だ。喉はヒリヒリ痛んで乾燥しているし、横たわっているのに頭はぐわんぐわんと揺れている。
原因は分かっていた。昨晩の情事だ。
昨日からどことなく熱っぽい感じはしていたけれど、まさかこんなに悪化するとは思っていなかった。
でも匠真は仕事、俺は卒論で忙しく、久しぶりの休みだったんだ。仕方がない。
ベッドから身体を起こし立ち上がると、頭の奥の方が脈打つように痛んだ。
リビングに入ると匠真が丁度出勤する支度を終えたところで、スーツ姿格好良いなぁ、なんてぼんやりと考える。
「おはよ、匠真」
「おはよう。悪い、もう行かないと駄目なんだ。
朝ごはんキッチンにあるから食べて。
気をつけて行くんだぞ」
「うん、ありがと〜。匠真もね」
まるで母のようなことを矢継ぎ早に言う匠真は通常運転だ。
一歩一歩踏み出す度に痛む頭は無視して玄関までついていくと、最後に顔を見合わした匠真が探るような視線を向けてくる。
「な、なに?寝癖ついてる?」
「いや。なんか顔色悪くない?体調悪いのか?」
「え、そんなことないよ?寝起きだからかなあ」
いってらっしゃいと手を振ると、匠真は腑に落ちない顔をしながらも家を出ていった。
良かったーバレなくて。
匠真はほんとに勘が鋭いから、焦る。
キッチンには簡易な朝ご飯が用意してあるけど、食べられる気がしなくて適当なお弁当箱を借りてそれに詰め直す。
いつもなら有難く平らげるんだけど。
お昼に食べられそうだったら食べよう。
頭を庇うようにのろのろと支度を済ませ、合鍵でしっかりと鍵を閉めて匠真の家を出た。
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