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まふそら〜あなたと過ごしたあの日々を。〜 2
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そらるside
その日は、まふが俺の家に来る予定だった。
『暇なんです!』
そんな理由であるにも関わらず、まふと会える、それだけで心が踊ってしまう。
途中、天月からMixのお願いの電話が来たとき、言われてしまった。
『…という訳で、よろしくお願いします!』
「分かった」
『…そらるさん、なんか機嫌良いですね!どうされました?』
「え?そうかな?」
『……あ、分かりました!この後、まふくんと会うんでしょう?』
「……何で分かったの?」
『そらるさんは、まふくんのこと大好きですね〜。まふくんは幸せ者だなぁ』
「そんなこと、ないよ。ただのパートナーだと、思ってると思うから」
『えぇ〜、そうですか?』
「そうだよ…まふのことだし、男を好きになるとか無いよ」
『…まぁ、楽しんでくださいね!あ、Mixお願いします!』
「OK、ありがと」
電話を切り、ため息をつく。
……分かってはいるけど、悲しいなぁ。
予定通り、天月から音源と音声が送られてくる。
……まだ時間はあるし、やってしまおう。
数時間後、俺は画面から目を離す。
時計を見ると、まふの来る予定の30分前。もう、家は出ているだろうなぁ。
ささっと家を片付けると、10分前だった。
もうそろそろ、来るかな。そう思った、直後だった。
ドンッという鈍い音と共に、甲高い悲鳴が家の外から聞こえてきた。
一瞬、思考が止まる。
そして、必要な物だけを持ち、外へ飛び出した。
救急車、多くの人、ひしゃげたトラック。
俺は人をかき分け、中心に行くと。
そこには、血だらけになり、横たわるまふの姿があった。
「まふっ!!」
「そ、らる……さ、ん?」
力無く、まふは笑う。…お願いだから、そんな、顔、しないでよ……。
「どいてください!!……知り合いの方ですか、乗ってください!」
「は、はい!!」
そこからの記憶は、まるで無い。
ただ、手術が終わり、一命を取り留めたと聞いたときの安堵は忘れることはできない。
通話可能な所へ行き、天月やうらたくん、さかた達に連絡する。
そして、まふの眠る病室に行く。
頭と両手には、痛々しい包帯が巻かれている。
俺はそれを見るのが辛くなり、そっと、まふの頬に触れ、キスをする。
「早く…起きて」
俺の声は、夕日でオレンジ色に染まった病室に、虚しく響くだけだった。
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