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まふそら×さかうら〜絶対に忘れないから。〜 5
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まふまふside
「ごめんな、まふ…こんな、俺で…」
「そらるさん!?どこに行くんですか!!」
気付いたら叫んでいた。
けど、そらるさんは止まらずに、僕の家を出ていってしまった。
玄関のドアを開けて、そらるさんを追いかけようと思ったところで立ち止まる。
そらるさんに、僕は必要ないんじゃないか。
そう、思ってしまって。
どさりと玄関のドアを前に、座り込む。
「そらる、さん…」
じわりと涙が浮かび、やがてそれは頬を伝った。
一度流れてしまったら、次から次へと僕の頬を伝う。
僕は、どんな僕でも、どんな貴方でも、貴方のことを愛しているはずなのに。
僕は、玄関のドアにもたれかかって、膝を抱え、ただ1人で泣いた。
ヴーヴー…
振動音が聞こえ、目を開ける。いつの間にか眠っていた。
ゆらりと立ち上がり、寒さに震えながら寝室へ向かう。
僕のスマホのディスプレイには、『うらたさん』という文字があった。
『もしもし、まふまふ?』
『はい…うらたさん、夜遅くにどうしたんですか?』
出来るだけ、明るい声を出そうと頑張る。
すると、少しの間があって、返事があった。
『無理、すんじゃねぇ』
『…え?』
『雨の中、倒れてたんだよ、そらるさんが』
『え…』
僕は絶句して、窓のカーテンを開ける。暗闇の中、確かに雨が降っていた。
『何か、あったんだろ?』
『…そらる、さん、は』
『大丈夫。坂田が家に運んでくれたから』
『そう、ですか』
『うん』
うらたさんは、僕が話し始めるまで待ってくれた。
『実は』
うらたさんは、僕の話をちゃんと聞いてくれた。
僕は、『会いたい』という思いを必死に抑えた。
『そう、だったのか…坂田に話しても、良い?』
『はい…大丈夫です…色々、ごめんなさい。おやすみなさい』
『あ、あぁ…おやすみ』
電話を切る。
まさか、そんなことになってたなんて。
そらるさんが言ったことを、そっくりそのまま返したい。
「ごめんなさい、そらるさん…こんな、僕で」
あのとき、僕がそらるさんを追っていれば。無理矢理にでも、引き止めておけば。
後悔と、会いたい思いだけが募る。
しばらくすると、またスマホが震えた。今度は、さかたんだった。
『まふ?』
『はい、どうしたの』
『どうしたのじゃなくて…えぇーと…』
『あーっもう坂田!貸して!』
少し遠い所からうらたさんの声がする。
『まふ?今すぐ坂田の家来れる?』
『えっと…はい』
『じゃあ早く来いよ!そらるさんも、待ってるから』
一方的に話が進み、電話を切られる。
着替えて玄関のドアを開けるとき、僕の身体は震えていた。
一瞬、開けるのをためらう。
けど、首を振って、そんな考えを振り払った。
ーーーそらるさんも、待ってるから。
うらたさんの言葉が頭をよぎる。
今、行くよ。
僕は決心し、さかたんの家へ早歩きで向かった。
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