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理想と現実のギャップ
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「流石に言葉は難しい。サッカー選手然り、ラグビー選手然り、言葉を理解していないと駄目だろうな。フランスに来た以上、しっかりと、勉強しなくてはな」
二日目を迎えた。
瑠衣はいつものように、雑用をこなしている。
後ろには、ロベールが。
「おや、ルイ?バッシンヌ(ボール)、鉄板(プラック)の汚れ、残っているが?洗い物すら、満足にできないようでは駄目だ。ましてや、鉄板の汚れ一つで仕上がりに左右されるのは基本中の基本だ。全部洗い直しだ」
容赦なく言い渡た瑠衣は、淡々と洗い直しに専念する。
やっと、休憩時間。
携帯にLINEが受信されていた。
松田太陽からだ。
太陽は瑠衣の専門学校時代のクラスメイトで親友同士。
和菓子に魅了され、専攻科まで受講していたほど。
念願がかない、老舗の和菓子屋に就職している。
「どうだ、俺が任された和菓子だぞ(^o^) 凄いだろう!?」
写メまでしてくる始末。
「・・・なんなんだよ・・・?この差は・・・」
しかし、その沈黙は程なくして、破られることになった。
「ルイ!いつまで、休憩を取っているんだ!?」
ディミトリからの怒声だ。
「ご、ごめんなさーい!!!!」
瑠衣は慌てて自分の持ち場に戻った。そして、いつものように、雑用をこなす。
その日も、20kgもする砂糖の袋、小麦粉の袋、そして、ショコラの箱の整理を言いつけられていた。
「ショコラの箱、製菓用とはいえ、雑に扱うな」
瑠衣はショコラの仕分けをしていた。
扱っているショコラは、ヴァローナ社のものだ。
ヴァローナは、1922年、フランスで創業した製菓用チョコレートのメーカー。
瑠衣の通っていた専門学校然り、実家のパティスリーでもヴァローナを使用している。
チョコレートは、イヴォワール(ホワイトチョコ)、ショコラ・ミルク(ミルクチョコレート)、ブラックだけではない。
ノワール・ショコラ(ブラックチョコレート)、フレーバータイプ(オレンジ味やモカ味)、エキストラ・ブラック(ブラックよりかなり苦い)、70%カカオタイプ、酸味の強いタイプが存在する。
「製菓用ショコラだけでも、かなりの数だな・・・かなり、大きく分厚い板チョコだけじゃなく、粒タイプも存在するんだよな・・・」
瑠衣は数多いショコラの種類の仕分けを済ませ、厨房に戻る。
その間に、シンクには洗い物が溜まっていた。
もう、気が遠くなりそうだ。
そんなこんなんで、就業時間が終わった。
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