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理想と現実のギャップ,4
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就業時間終了後のこと・・・
瑠衣は、ようやく、部屋にたどり着いた。
明日、仕事が休み。サブレの練習。
「マルシェで材料を買って、自己練習しかないだろう」
実家で玲央がサブレを焼いていたのを見たことがある。
手捌きや段取りを瑠衣なりに盗み見していたり。
「店のオーヴンを使えばいいだろう?」
フランソワだった。
「そう簡単に使わせてもらえそうにないよ。オーブンの最後の砦はロベールさんだ。僕はまだ、入ってきて間もない・・・って、フラン?いつの間に?」
「窓からやって来た」
瑠衣はサブレを練習がてら、焼いていた。
「実家の味とは全然遠い・・・なんだか違うな・・・」
フランソワは瑠衣のサブレをおもむろに試食。
「・・・なんだか舌ざわりが違うな・・・味は俺的に好きだが・・・」
味の感想すらない・・・そりゃそうよね・・・
現実の壁はとても厚い。
それなら、本当にチャンスをうまく見計らって、就業時間後の練習を許可を貰おう。
しかし、ロベールは難色を示していたが、なんとか、OKが貰えた。
「原則として、材料は自己負担だ。練習に対して、店の材料を使うのは禁止だからな」
流石に厳しい。
雑用の傍らで、ロベールがサブレを担当することになった。
そこで、瑠衣はロベールの手さばき、材料の混ぜ具合、生地を伸ばす厚さを確認しながら・・・
「勘と経験があるのみだ」
ロベールはにやりと笑みを浮かべる。
就業時間終了後、瑠衣は念願の初練習のチャンスを貰った。
そこには、ダヴィッドがマカロンの練習。
マカロン・パリジャン、ナンシー地区のマカロン、アミアンのマカロンなどの練習だ。
ダヴィッドは卵白とアーモンドパウダーと粉砂糖の合わせ方に注意しながら、絞り袋に入れて鉄板に絞っていく。
瑠衣のサブレが出来上がった。
しかし・・・
「・・・なんだか違う・・・」
「・・・ふむ・・・」
「不味くも美味しくもない。次、頑張れ」
味の感想すらない。流石に、現実の壁はとても厚い!
店頭で売っているサブレを買って味の確認をじっくりとしなければ・・・
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