アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
マルセルが・・・?
-
マルセルとリュカはショコラのテンパリングをしている。
これからは、ノエルに向けて大忙し。
ショコラティエは汚れの目立たないこげ茶色のエプロンを着用している。ダヴィッド、クリュゼでも例外ではない。
「ダヴィッドとマルセルの気高さ、二分するだろうね」
瑠衣とフランソワは脱帽ものだ。
その日、瑠衣は午前中まで仕事だった。
昼過ぎに仕事が終わるため、空腹に耐えられない。
「ルイ、チュイルリー公園に行こう」
ドレッシングルームで瑠衣はダヴィッドからのLINEが入った。
「ボンジュール、ダヴィッド。空腹に耐えられないよ。昼食後(デジュネ)でいい?」
「途中で軽食買えばいいだろう」
ダヴィッドは強引すぎる。瑠衣は溜息をつく。
口喧嘩したって、腕相撲したって到底勝てっこない。
待ち合わせはコンコルド広場。噴水は本当に絵になる。
「ボンジュール、ルイ」
「ボンジュール」
チュイルリー公園の昼は、昼食をとる現地人でいっぱい。その日はピクニック日和。
ダヴィッドはマレ地区のファラフェルサンド店で買ってきたようだ。瑠衣はバケットサンドを買っていった。
ダヴィッドはペリエを片手に
「マルセル、フランス革命時代の・・・」
「・・・どうしたの・・・?」
「フランス革命時代の教諭・法律学者・弁護士として活動していたディディエ・メンディーの末裔らしいんだ」
「・・・え・・・」
たしか、サーシャがちらっと言っていたような気がする。
ダヴィッドはサーシャの言葉になんとなく、ひっかかっていた、とのこと。
「ムッシュ・ベルナールと父が昨日の夜、オンクル(叔父のフランス語)のレストランで食事をしていたとき・・・」
ダヴィッドの叔父・ドミニック。ディミトリの兄で、「レストラン・アングラード」のオーナーシェフ。
「コンコルド」創業前の創業であるため、かなり最古のレストラン。
パリ一三ツ星で、ミシュランガイド常連。
これはきっと、話が長くなりそうだ。
瑠衣を嫌と言わせない粘着さをダヴィッドは見せつける。
「夕食(ディネ)奢るから」
食い逃げはできないだろう。
ダヴィッドが連れていくビストロは驚くほど高い。
行列の絶えないビストロでもある。
「早速、ワインを頼もうかな」
瑠衣がワインを注文をするとき、ギャルソンは顔をしかめる。
「失礼ですが、お客様はご成人なさっていますよね・・・?」
「二十歳ですが」
フランスは18歳で成人として扱われるが、日本人は童顔とみられてしまう。
瑠衣はスペシャルで目立つほどだ。
「もう、嫌になる!」
テーブルには、ステーキ・フリット、エスカベッシュなどが並ぶ。
デゼールにはタルトタタン、クレーム・アンヴェルセ・オ・カラメル(カスタードプリン)。
「食べきれるのかな~」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 656