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☆Marquise~ルセット
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Marquise(伯爵夫人、という意味合い)。
マリー・アントワネット王妃の生誕記念日。子供の誕生日会などでは、侯爵夫人マルキーズに因んだ菓子が時折作られる。
日本でも百貨店の地下でも時折扱うことも少なくない。
「この時期は何やら、イベントごと相次いでいるな」
瑠衣は思う。
コンコルドでは様々なマルキーズを制作することがある。
スカートのボリューム・フリルを想定するように絞るのが命といえよう。
ショコラ、モン・ブランでできたものも作るという。
ジェノワーズ生地、ビスキュイ・ジョコンド生地で作り、スカートを表現する型に貼り付け、ムースを流し込んだりするのが一般的。また、ガト・オ・フレーズ(イチゴのショートケーキ)で制作するケースも。
まもなく、ノエルがやって来る。
そして、その前に。
マルセルとダヴィッドでマルキーズの販売に余念がない。
しかし、数多くは作れない。前もっての予約が必要だ。
「Bonjour」
リセ・モンテーニュの教諭エポニーヌと後輩の女性教諭二人を伴ってやって来た。
「もうすぐ、アンヌが結婚するの。マルキーズをお願いしたいのですが」
「かしこまりました」
マルセルはエポニーヌたちの注文を承る。
程なくして、次々とマルキーズの注文が殺到してくる。
女児の誕生日会に伴う注文が多い。
「ガト・オ・フレーズのほうでお願いできますでしょうか」
日本人の客でもない。フランス人の客からの注文だ。
また、グラスで作るマルキーズの注文もちらほらと出てくる。
しかし、特注扱いになるため、前もっての注文しか受け付けることはできない。
********
「俺なら、ジェノワーズ生地を使って、グラスを使ったのを作るな。ただ、店頭に販売するとなると、少し現実的じゃない」(ダヴィッド)
「そんなことないと思うよ?日本(ジャポン)でも、特注にて作るケースも少なくない。僕なら、いくらでも食べられるけれど」(マルセル)
「マルキーズ型でまず、ジェノワーズ生地を焼く。それをスライスして、ガト・オ・フレーズのヴァリエでいく。最後はクレーム・シャンティ仕上げだ」(ロベール)
「バームクーヘンの要領で作る。そのルセットはシャルロッテから聞いた」(ディミトリ)
それぞれのマルキーズのイメージを討論している。
スカートのボリュームをモン・ブランで仕上げるのも魅力的だ。
【Marquise】
17×13cmのマルキーズ型を用意。
ジェノワーズ生地を使って、イチゴをサンドしたもの。
また、ジェノワーズ生地をマルキーズ型に貼り付けて、グラス・ア・ラ・ヴァニーユとグラス・ショコラを入れて作るのも良いだろう。
「ジェノワーズ生地は、レオ(瑠衣の父親)のルセットを使う」
玲央のルセットは、卵黄を多くしてしっとりさせたジェノワーズ生地だ。
また、ジェノワーズ生地にムースを使ったのもある。
スカートのボリュームを表現するのは、クレームシャンティ仕上げ。
飾り絞りなどを駆使するのがカギ。
「最後に、マルキーズの胸像を飾って完成だ。ただ、食べきりタイプのプティガトー版には、マジパンで対応する。数多くは作るのは難しいが」
数日後のこと。エポニーヌ・デュプレイたちが、注文を貰いに店頭に来ていた。
「こちらですね」
瑠衣が丁寧にエポニーヌにマルキーズを手渡した。
「メルシー、ルイ」
エポニーヌたちが去ると同時に、ドワイヨン兄弟がやって来た。
リュカとマチュー。
リュカはヴェルサイユに戻っていた。
「俺だったら、ショコラ尽くしで作るな。ママンが思い描いていたマルキーズを俺たちで試作をしているけれど、なんだか、しっくりいかない」
ママンの思い描いていた・・・って・・・?
その言葉に瑠衣はまたまた何やら引っかかる・・・
「どうした、ルイ?」
「ごめん、リュカ」
「ダヴィッドを呼んでくれるか?」
「ダヴィッド、もうすぐ仕事終わるよ?」
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