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その可愛さと迫り方に圧倒され、僕の心臓が落ち着かない
「……ねぇ、………ちゅーしよ?」
赤くぷっくりとした唇が僅かに動く
そして、そこからチロリと舌先を覗かせた
「……は、はい……?」
返事をしてみたものの、意味がわからない……
……えっと……、これは夢?
ミルクの唇が、ゆっくり近付いてくる
サラサラとした長い髪が僕の頬を撫でると、大きく潤んだ瞳が柔く緩む
……じゃない………ち、近い……
女の子の様な顔立ちのミルクから発する、不思議と甘い匂いが僕の鼻を擽る
頬は熱くなり、更に心臓が壊れそうな位バクバクと跳ねる
柔らかそうな唇が視界いっぱいに広がると
僕は意を決し、瞼をギュッと瞑った
「………おい、貴様!」
……と、突然鋭い声が
この甘ったるい空気を切り裂く
「……っ!は、はぃ……」
その声色に、バクバクした心臓が竦み上がる
恐る恐る瞼を押し上げると、傍らに立つ青髪のイケメンが冷ややかに見下ろしていた
切れ長の瞳に、シュッとした鼻筋
整った顔立ちと立ち姿に纏う、高貴な雰囲気……
「……邪魔しないでよ、アオ」
頬を膨らませたミルクが、アオを可愛く睨み上げる
しかしそんなミルクの言葉を無視し
アオは腕組みをした後、ゆらゆらと長い尻尾を揺らしながら口端をくっ、と上げた
「何を悠長に寝ているのだ」
「……へ…」
寝てるも何も、さっきまで襲われてたんですけど……
そう弁解したくても、ビー玉の様なブルーの瞳に冷たく睨まれれば、口を閉ざすより他はない
「貴様には、やる事があるだろう」
「……え?」
「まさか、忘れた訳ではあるまいな」
表情を崩さないまま、アオの額に青筋が立った
その気迫に圧されながらも、頭がクリアになった僕は
やっとこの状況を理解した
……そうだ……昨日の夜……
バイトから帰ってきたら、ずぶ濡れのアオが玄関前にいて……
……って……
アオの体を見た後、改めてミルクと茶々丸の体に目を移す
「……な、なな……何で、裸……!?」
僕のまわりで戯れる美しい裸体がみっつ……
イケメンの肌から放つ眩い輝きと
爽やかさと甘い香りの混じった匂いに
再び頭がクラクラする……
「何故って」
「……それはぁ……」
「猫だからだ」
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