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過去2 ナイス視点
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池袋にくると、俺たちは早速とある廃工場へと向かった。
そこで、依頼人の奈倉という人物がいるはずなのだ。
そして、その物とやらを受け取り、それを粟楠会に届ける。
それが依頼内容だった。
「おっじゃしまーす!」
重い寂れた鉄のドアを開けて中に入るが、中はシーンと静まり返っている。
「誰もいないのか?」
そう言って足を進めたムラサキを、俺は止める。
「いんや、いるよ。出てきたら?」
すると、高い笑い声が拍手と共に工場内に響いた。
「あははははははは! さっすが有名なコンビ探偵ハマトラのナイスさんだ。一瞬で見抜いちゃうだなんてさ」
楽しそうに笑うそいつは、なんか一目でムカついた。
あの人を見下したかのような、嘲るような目。
心底ムカつく。
けど、なんでかその中に、人をいとおしむものも混じっていた。
ムカつくけど。
「あんたが奈倉さん?」
「そうだよ。けど、いまのを一瞬で見抜いたことだし、本名教えてあげるよ」
「やっぱ、偽名だったか」
「あ、わかってました?」
「名字だけだったし、後は勘かな」
「さすがだね。俺は折原臨也。情報屋をしている者さ」
「ふーん。情報屋のあんたが、なんでこんなことしてんの?」
「情報屋にはいろいろ人脈が必要でさ。だから、こういうこともしているのさ」
「へー、じゃあ、自分で雇った探偵を取り囲んで銃口を向けさせるのも、情報屋の仕事?」
横でムラサキが外の奴らを警戒している。
「俺はね、人間が好きだ。愛してると言ってもいい。けど、人間以外には興味がないし、いらないって思ってる」
「だから俺らみたいなミニマムホルダーを殺そうっての?」
ニコリ。
笑うだけで折原臨也は答えない。
そしてその瞬間、廃工場内に何人もの人間が銃口を向けながら走って入ってきた。
俺たちを囲むと、一斉に安全装置を外した。
マジっぽいな。
銃声が鳴り響く前、ムラサキはメガネを外し、俺は静かにヘッドフォンをつけた。
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