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過去14 臨也視点
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『本当に知ってるのか!?』
「だから、そう言ってるでしょう? 私はこれでも結構有名な情報屋ですよ? 保証しますって」
『………………わかった。で、いくら出せばいい』
「そうですね…………では、五百万で」
『ごひゃっ…………ふざけんな!』
「ふざけてなんていませんて。この程度のお金も出せないで人殺しの片棒を担がせられるとでも? 大体、それくらい命かけないと、暗殺なんかできませんて」
『……………………くそっ、わかったよ。どこに行けばいい』
「私の事務所に直接来てくだされば構いませんよ。それでは、お待ちしてます」
『あ、おい! まっ……………』
電話を切って、窓の外を眺める。
決して眠ることのない街。
明かりが絶えず灯り続けるこの街に住む者は、観察しがいがある者ばかりではない。
つまらない人間もいる。
しかし、そんなつまらない人間でさえも、愛おしく思える。
つまらないのなら、面白くしてやればいい。
その人間の周りをぐちゃぐちゃにかき回して、いやがおうにも面白くなるようにしてやればいい。
まぁ、それでもつまらない人間はつまらない人間だ。
だが、それはそれで面白い。
人間の謎というものは人間の数だけある。
その全てが知れたら、どんなに面白いことか。
「これだから、やめれない…………」
人間観察。
無限に広がる可能性。
あぁ、本当に最高だよ。
「あなた、いつか本当に殺されるわよ」
そういうのは、事情により俺の部下として働く女ーー矢霧波江。
パソコンに向かい、仕事をしながら話しかけてきた彼女は、かなり仕事ができる。
見た目もいいし、実際スタイルもよく、大人の色気をちゃんと持ち合わせているので、本来はモテるはずなのだ。
しかし、彼女は恐ろしい性癖を持っている。
弟への、異常なまでの愛。
兄弟としての愛ではなく、異性としての愛を、弟に求めているのだ。
弟のためなら死体を隠すことも、少女の顔を変えることも厭わない。
恐ろしい人間だ。
「殺されないさ。だって、静ちゃんが守ってくれるしね。例え守りきれなくて死んじゃっても、静ちゃんが敵討ちしてくれるだろうしね」
顔を赤らめながらそう言うと、波江はあからさまに顔を顰めた。
「知らないわ。と言うかキモい」
「あはは、君に言われるとはね」
「ところで、さっきの電話、なに?」
「あー、さっきの。黄瀬涼太に脅迫状出した犯人から。あいつのスケジュールを教えろってさ。まったく、信用しないなら電話してくるなよ」
「まぁ、確かに」
俺はチャットルームで会話しながら言う。
「大体、脅迫状とかって意味ないと思うよ。どうせその程度で金のなる木を捨てる訳がない。怪盗みたいな予告状ならまだしも、脅迫状なんて出すだけ無駄。出さないでさっさと殺しておけばいいのさ。それが一番効率よく確実に殺せるしね」
「まぁ、確かにそうね」
そのあとに会話はほとんどなく、パソコンのキーを押す音以外は響かない。
しかし、着々と俺が鳴らした音は、池袋に響き始めていた。
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