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過去17 帝人視点
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「はぁ……」
いつも集まるアジトの中、僕は小さくため息をついた。
「どうかしたんですか、帝人先輩」
「ん? なんでもないよ」
「そうですか」
心配して声をかけたのは高校の後輩である黒沼青葉くん。
こう見えて、ブルースクエアというカラーギャングの副将だ。
ちなみに、僕がボスをやっている。
青葉くんは僕に近づくと、
「先輩」
笑顔で声をかけてくる。
それに振り返り顔を上げた瞬間、目の前が真っ暗になった。
そして、唇に当たる柔らかい感触。
どうやらキスされたようだ。
しかも、舌が入ってくる。
「ふぁ……ふ、ん……あお……ば……」
深い深いキスを突然されて息ができない……。
「…………、は、はぁ……」
開放されたと同時に口を大きくあけて酸素を取り込む。
「いきなりしたら、息ができないから止めてよって前にも言ったでしょ? びっくりした……」
「驚いて息継ぎを上手く出来ない先輩も可愛いです」
「もう…………」
いつもならここで他の面々から「死ね」だの「爆発しろ」だの言われるのだが、今日は誰もいない。
みんなには少し、出てもらっている。
「それで、なんでため息なんてしたんです?」
「いや、このチャットで出てる話、いまちょっとダラーズのある場所で噂になっててさ」
見ていたのは、僕が「田中太郎」として、青葉くんが「純粋100%」としているチャット。
そこには、黄瀬涼太というモデルに脅迫状が届いたというものだった。
「噂っていうのは……?」
「ダラーズの中に犯人がいて、特定の人しかログインできないページで犯行予告やらをしているらしいって。とりあえずみんなにはその予告があって、実際に事件があった場所に行って、調査してもらってるんだけど、いまのところなにも掴めてなくてさ」
「なるほど。聖辺ルリの事件と少し被りますね」
「うん」
真剣な顔で画面とにらめっこしていた二人だが、数秒経つと埒があかないとばかりに目を画面から逸らす。
「でも、残念だなぁ。今日は先輩から呼んでくれて、しかも来てみたら誰もいないから、先輩から誘ってくれてるのかと思ってました」
「ンな……!?」
頬が熱くなる。
青葉くんは僕を見て笑った。
「赤くなってる。先輩可愛い♥」
「う、うるさいよ!」
とにかく、そんな人間は、ダラーズにはいらないんだ。
排除しないとね。
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