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過去26 聖辺ルリ視点
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結局、なにもできず捕まっている。
本気を出せば、普通の人間などすぐに殺せるが、いまは人質を取られているので、なにもできない。
一緒に、黄瀬さんとやらも捕まってしまった。
どうすればいいのかわからない。
幽平さんがどこにいるのかもわからない。
いま一緒にいるのは、知らない高校生ぐらいの子たち二人。
隣でいまだ意識を失っている。
目の前には白い布。
天井からぶら下がっている。
風が入ってきているようで、時々揺らめいては止まる。
椅子に手と足をガムテープで固定されているが、こんなものは簡単に破りされる。
しかし、下手に動けば幽平さんになにかされるかもしれない。
あの人――静雄さんが動きづらくなるかもしれない。
だったら下手に動くことは得策ではない。
本当に、こういうときどうして自分はなにもできないのか。
泣きそうになっていると、白い布がばさりと落ちた。
なぜ突然落ちたのか、驚いて思考がうまく回らなかった。
しかし、自分に向けられた声で、状況を理解した。
「ルリ……ちゃん……?」
白い布の向こう側。
まるで鏡合わせのように自分の前に椅子に縛られたその人。
「幽平……さん……!」
そこには、幽平さんがいた。
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