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過去31 ナイス視点
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船の外に出ると、甲板にあいつがいた。
けど、あれ?
「どうかしたんスか? ナイスさん」
「黄瀬……涼太?」
そこにいたのは、黄瀬だった。
こちらに近づいてくる。
「そんな怖い顔して、なにかあったんスか?」
なんで、黄瀬が…………?
「ぐはっ!?」
突然殴られて、体を折る。
「大丈夫ですか、ナイスさん」
「黒子……?」
にやりと笑い、黒子のイグナイト? とやらが顎に直撃する。
「案外弱いんですね」
今度は羽島幽平か……。
顎から脳に振動がきて、体が動かない。
「がっ……」
腹を踏み、ぐりぐり鳩尾を攻撃する。
「よえぇなぁ……」
脇腹を蹴り飛ばしたのは、火神。
「邪魔しないでね。じゃなきゃ、殺す」
俺の上に跨り、首を絞めてくるのは、聖辺ルリ。
「…………っ」
ころりころりと姿を変えるそいつは、少しだけ姿が揺れている。
蜃気楼のような、曖昧なもの。
「おまえ、なんのミニマムホルダーだ……?」
「仮面のミニマムさ」
「かめん……?」
「相手の顔と能力を奪うのさ。やがては、命を……」
なるほどな……。
……って!?
なに!?
じゃあこの異常な強さはこの女特有の力ってことじゃね!?
なにこの女!?
怪力女!?
ムラサキかよ!
hrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!
突如鳴り響く、馬の嘶きのような音。
夜空には、都会でかろうじて見えていた星を塗りつぶすように、黒い虹がかかっていた。
そしてそこから、
「ヒヤッホー!」
「……楽(ヒヤッホー)……」
ふたりの少女と、黒いライダーが、黒いバイクに跨って降りてきた。
「なに!?」
犯人も知らない乱入者。
こいつらは一体…………?
「いつもニコニコ幽平さんのとなりに這いよる混沌折原姉妹でっす!」
仮面ライダーかのようにポーズを決めるふたり。
顔はよく似ているが、それ以外はまるで違うそのふたりは、姉妹らしい。
そしてもうひとりは、
『そいつを離せ!』
となんか打ち込んで見せてきた。
筆談ですか……。
なんともカオスな奴らがきたものだ。
「やーやーやー! 幽平さんやルリちゃんになりすましてひとに危害を加えるたァいい度胸だ! 覚悟しろ!」
「決(かくごしろ)」
「ふざけるな! 全部俺のものにしてやる!」
聖辺ルリの姿をしたそいつが叫ぶ。
『ふざけるなはこっちのセリフだ! 私は、…………新羅のものだ!』
「相変わらず熱々だね!」
「羨(いいな)」
『うぅ〜……』
「恥ずかしがってるぅ!」
そんな犯人を完全無視する三人組。
「無視するなぁ!」
そりゃ怒るわな。
走り出したそいつは、リア充らしい黒いライダーに向かう。
「まずはおまえからだ!」
そう言って、黒いライダーのヘルメットを勢い良く外した。
その瞬間、そいつのミニマムが発動――――しなかった。
それもそのはず。
なにせ、この男の能力はひとの顔を奪うことにより能力を得るのだ。
『顔がない』のだから、その能力は発動できない。
顔どころか、首のない相手に、通用するはずもないのだ。
「く、くく首が……ない!?」
驚いたそいつの動きが止まった瞬間に、首なしライダーは蹴りを喰らわせて気絶させた。
その瞬間ミニマムが解けたのか姿は先ほどの男の姿になり、同時に黄瀬たちに顔が戻ったらしい。
事件はこうして、解決した。
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