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しあわせってなあに?
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物語を読み終わって。俺はそっと本を閉じた。
彼はとても眠たそうに人差し指で目を擦っている。
それが微笑ましくて自然と髪に手を伸ばした。そしてさらさらな髪を撫でる。
「あおくん。どうしてみんなはなかよくできなかったのかな?」
うとうととして舌足らずな声音の彼は俺にもたれて問う。
「ぼくにはね、ハッピーにはみえないの」
本の表紙を撫でながら、彼は言った。
「ねぇ、どうしてだとおもう? あおくん」
俺を見詰める瞳は酷く純粋で、真っ直ぐだ。
俺は何が幸せで、何が正しいのかわからない。
でも、その眼は『俺』に聞いている。
俺は、考えた。人の幸せを。幸福を。
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