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第一章 見え始めた世界 第七話 人魚族の国
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――ウミノソコ アナタ コイシク ナキヌレテ ネムル―――チジョウノ ヒカリ アナタノ ヌクモリ オモイダス――
歌が聞こえる。美しい歌声。それがだんだんはっきりと聞こえてきた。
「あ、目ぇ覚めたのかな?」
歌が止んで、今度は澄んだ美しい声が無邪気さを含んで響く。視界に現れたのは真っ直ぐな珊瑚色の髪を伸ばし、生気に満ちた海色の大きな瞳をした少年だ。
「ねぇ、リルの歌気に入ってくれた?」
小首を傾げながら俺の顔を覗き込んできた。美しい声が妙に反響している。少年をよく見ると何も纏わず剥き出しになっている白い肌が、ぼんやりとした光を浴びてうっすらと真珠の様に七色に輝いている。
「あなた人間でしょう?人間との恋を歌ってみたの!」
不思議な事はそれだけではなかった。同じく下半身は真珠の様な光沢を放つ半透明なもので覆われ、その形はまるで魚の尾になっている。
「……君は一体…」
「もぅっ!リルが聞いてるのにっ」
「あ、ああ…ごめん…」
膨れっ面で機嫌をそこねてしまった少年と向かい合うため体を起こして座り直す。
「とても綺麗な声をしてるな…」
「…歌は?どうだった?」
「歌も綺麗だった。…ちょっと切ない感じがして」
大きな瞳に問いただされながら正直に答えると、少年は嬉しそうに微笑んだ。
「ふふっ良かった!あ、リルはリル・ムーンっていうの。気づいてると思うけど、人魚族だよ」
「にんぎょ…」
「そうだよ。初めて見た?」
「あ、ああ…初めて見た」
「そうだよね!リルもお話では聞いたことあるけど、人間って初めて見た!…あっ、あなた人間で合ってる?」
「…合ってるよ(多分)」
「名前は、なんていうの?」
「ショウ…(多分)」
「ショウっていうんだね!」
自分の事を質問されてるのにこんなに自信なさげに答えなければならないとは思わなかったな…。
…此処は…
少し周りを見渡す余裕が出てきた所、無邪気に質問してくるリルの美しい声が良く響いていたのは、此処が洞窟内だからだと解った。透明度の高い水が直ぐ近くにあり、洞窟内を形作る半透明の鉱石はほんのりと内側から光を放っていた。その光に照らされてリルの真珠の様な肌は輝いていたわけだ。視界は全体的にぼんやりと光って、聞いたこともない美しい声で人魚が囀る。これは夢なのだろう。
「ショウついてきて!案内してあげる」
リルはすぅっと透明度の高い翡翠色の水に入って手を振ってくる。どうやら、泳いでついて来いと言っているらしい。
「その…案内したい所までどのくらいの距離があるんだ?あんまりあると俺は溺れ死ぬぞ…」
「あ!そっかぁそうだった!人間はあんまり泳げないんだよね…じゃあしょーがない」
リルは水から上がり、横になって目を瞑った。すると、驚くべき事に魚の尾が先から徐々に一本の蛇の様なものになって形を崩していく。
「んんぅっぁっぁうっ」
リルはその間中細い眉をひそめて少し苦し気にその美しい声を漏らしていた。染まる頬に涙が浮かぶ瞳、仰け反る細い躰と甘美な声を出すリルの姿を見ているとどうもいけない気分になってくる。
「あっ…ふぅ…っん………よし」
下にはいていた腰まで切れ目のある長い布から魚の尾ではなく細い足が剥き出しになると、リルの躰にはリルと同じ真珠の様な肌をした長い蛇の様なものが巻きついていた。
「海の手を付けるのも取るのもちょっと苦しいからあんまりやりたくないんだよね…さ、行こう」
「いやちょっと待ってくれ、それは何だ」
衝撃的な光景に思わず説明を求める俺をリルは振り返る。
「え、海の手のこと?」
躰に巻きついている蛇を指差して問いかけられ、頷くと海の手はリルの躰からするすると滑り降りて水の中へと姿を消した。
「海の手はね、人魚族の尾になってくれるの。多分他の種族だと喰い殺されるんだったかな?」
…なんと恐ろしい…。
「えっとね、人魚族は人間より水に強いけど、人間みたいに呼吸してるの。だから海の手が体の中の色んなものを包んでくれないとずっとは泳いでられないんだ」
「なるほど…」
「それで、海の手は…っ」
説明の途中でがくんとリルが膝を崩した。
「どうしたっ」
慌てて抱き止めると、腕の中でリルがびくびくと躰を震わせている。よく見るとまだ瞳は潤み頬は染まっていた。
「ぁ…海の、手が…」
「まだ、いたのか?」
「わかん、なぃ…でもっ」
「……取り出してやりたいが…俺が触れたら指が喰い千切られないか?」
「んんっ…さわるの、へーき……体内は、だめ、だけど…ぁっ」
「よし、じゃあ指、入れるぞ」
膝立ちで俺の肩に掴まらせ、リルが自分で広げた穴に指を入れる。びくびくと震える胎内に指を這わせて海の手を探すが見当たらない。
「あっ、やぁ…」
胎内を指が這う感覚が嫌なのかリルは肩を掴む手に力を入れて躰を震わせる。もっと奥を探しても指先には何も触れなかった。
「リル、見つからないがどうしたらいい?」
正直リルの美しい声で喘がれるとムラムラくる。これ以上は俺がキツかった。
「っん…リル…時々、へん、なの……海の手が出てったあとも、おくの方がムズムズして……」
リルと目を合わせると、ぐずぐずと泣き出してしまった。
「リル、へん、なのぉ」
「変じゃないさ」
とりあえずリルの頭を撫でて落ち着かせる。予想外な展開にいつまで俺が落ち着いていられるかの方が心配だった。
「もう、大丈夫か?」
「ん…あのね………リル、初めて他の人の指、中に入れて………その……ショウに、もっと……触って欲しぃ…」
美しい声で遠慮がちに紡がれる台詞と、恥ずかしそうに白い肌を染め、大きな海色の瞳を上目使いされたら、たまったものではないと解って貰えるだろうか。だから…
「きゃぁんっ!!ぁあっ…ゃぁああんっ」
俺が渾身の指テクを持って幾度となくリルをイカせまくった事は許して欲しい…。
「ゃァアッ!!…った、また、きちゃっァあぁア!!!」
そして、堪らなくなった俺は、ついにイチモツを取り出してしまった。
「ァァ、アッ、それ、なぁに?」
幾度も絶頂を味わった後、びくんびくんとその激しい余韻に細い躰を痙攣させながらも、リルはそそり起つ俺の立派なイチモツを見て興味深そうに手を伸ばしてきた。
「っ!!ぃま…びくんって…したっ、ぁっ」
ぐずぐずに解れたリルの穴を指で開きながら、イチモツを徐々に挿入していく。
「ぁあっ!!!アアァ…あちゅぃ、よぉっ…ぁ、アアんっンッ…びくびく、してりゅぅっ…」
美しい声が今まで以上に熱を含んで響き渡る。その囀りに脳がとろけそうだ。もっと聞きたくて熱いイチモツで何度も何度もリルを貫いた。
「キャあぁアアッ!!ぁアっっ!アぁんンッ!あぁンッ!!っヤァああぁアアッ!!!」
穿つ度、引く度に異なる音色が響く。その聞いた事もない甘美な歌を思うがままに奏でる。
躰を何度もそり返し、目の前に晒されるリルの真珠色の肌はすっかり艶めかしい色合いに変わっていた。掌に吸い付く適度な湿り気と、絹の様な滑らかさがとても心地良い。その柔らかな肌を舌で味わい堪能し尽くした。
「ァアん、ああ、アァッ、あァアアっ!!あァアんぁあア"ーーーッ!!」
どんなに息を乱そうと、苦しげに叫ぼうと、リルのその声はただただ甘く美しく、繋がっている部分から溢れる卑隈な水音と共に官能的な音楽を洞窟内に響き渡らせるだけだ。
喘ぎっぱなしの口の端からは涎が滴り、生気に満ちていた海色の瞳は、今はただ熱に浮かされ虚ろに宙を見上げ快楽の波に流されている。その瞼に唇を寄せると、瞳は心を取り戻し、羞恥と快感で愛らしい光を見せた。
「んぁ、ァアンッ!!あぅんっ!!ひぃ、ぁっんン、ァ…しょぉおっ…もっ、もぉっらめぇ…らめぇっ……ァアあんっ!!ぁアアぁアっっ!!!やァアンッらぇなのぉおお"っ!!!」
最大の絶頂を迎えているリルの胎内に、溜まりに溜まった俺の精液が勢い良く注ぎこまれる。
「ア"、ア、あ、つぃ、ァッ…アァ…」
リルは注がれている熱い液体にびくびくと反応しながら気絶した。出し切った俺にも、急激に疲労感が襲ってきてそのまま睡魔に身を委ねる事にした―――。
・・・
「………リル……こんなの、初めて……」
二人で眠りから覚めると、ぐったりと力無く俺にもたれ掛かっていたリルは途切れ途切れに話し出す。
「海の手は、つける時ぺたーって貼り付いて、ちょっと苦しい感じなんだけど……ショウのは、あつくて…おおきくて……」
言葉が途切れたのでリルを見れば、俯いて頬を真っ赤に染めてもじもじしていた。なんと可愛らしい事か。
ところでまた俺はヤッてしまったわけだ。そして、眠りから覚めてやはりこれは夢ではないとわかった。はっきりと覚醒すると、俺はリルに会う前の記憶を捻り出した。どうやって此処にたどり着いたかはわからないが、流されたのなら乗っていた小舟や荷物、そして一緒にいたレイティが此処に居ない事に一気に不安が膨れ上がる。
「リル、俺の他にエルフが居なかったか?小舟や荷物が近くに無かったか?」
跳ね起きてリルの肩を掴んで聞き出すと、リルは戸惑いながら首を振った。
「ううん。周りには他に誰も居なかったよ」
「っ…そうか…」
「あっ、でもここの水流は幾つかあるから、それぞれにぶつかる洞窟に行けば見つかるかも!」
「本当か?!」
「うん。ショウも、その水流の一つに流されてきたからこの洞窟で見つけられたんだと思うし……エルフなら、きっと無事に辿り着いてるよ!」
「そうかっ!今から案内して貰えるか?」
「いいよ!ついて来て」
そうして俺はリルに導かれ、水晶でできた洞窟の中をレイティを探して歩く事になった。洞窟内の道はどれも同じ様にしか見えなかったが、リルには判るらしく順調に進んでいき、最初の洞窟に辿り着いた。しかしそこには何も無かった。次の洞窟には木片が流れて来ていたが、これは随分古くなっていたから俺達が乗っていた小舟の破片では無いとわかった。
そして、4番目の洞窟でやっと、水から打ち上げられているレイティを見つける事ができた。
「!!レイティ…レイティッ!!」
慌てて駆け寄り、呼吸と心音を確認して無事な事に安心する。
「……ぁ、ショ…ウ」
俺の呼び掛けに目を開けたレイティを抱き起こしてた。
「無事で良かった…」
「ショウも……無事で、良かった…」
「リルに助けられたんだ。紹介するよ…人魚のリルだ」
リルに顔を向けると、興味津々といった様子で勢い良く俺の隣に座ってレイティに挨拶をする。
「初めましてっ。リル・ムーンだよ!あなたがエルフ?」
「そのとおり、エルフだ。初めましてリル・ムーン。ぼくはレイティ」
無邪気に質問をするリルに答えたレイティも、軽く驚いてリルを観察する。
「人魚か…確かに不思議な肌をしている。それに、聞いた事も無い美しい声だな」
レイティに声を褒められて、リルははにかんだ。
「えへへ、リルでいいよ。リルはレイティって呼ぶね!」
「わかった」
何だか和やかな雰囲気になった所で俺は周りを見渡した。小舟の残骸も供物も見当たらなかったが、透明な水の底に白く長細い物が沈んでいるのを見つけた。
「…あれは!」
思わず上げた俺の声に、レイティも底に沈んでいる物を確認して驚く。
「ショウ達の荷物?リルが取ってきてあげる」
そう言って海の手もつけずに潜ったリルの姿は、みるみるうちに底へ着き、あっという間に剣を持って上がってきた。
「ありがとうリル」
リルから剣を受け取り、使う事がない様願いながら腰しにさした。
・・・
「2人もお客さんが来るなんて、きっと皆驚くよ!しかも人間とエルフなんて―――」
皆に会わせるのが楽しみなのか、リルは声を弾ませながら人魚族の話をしたり、レイティからエルフの話しを興味津々に聞く。俺については記憶喪失だと途中でリルに話したのであまり質問されず、時々相槌を打ちながらリルとレイティの会話を後ろで聞きいていた。
リルの話によると、人魚族の生活している場所は、今いる薄暗い海底付近ではなく陽の光が届く海上近くなのだそうだ。今はそこへ行くため、また迷路の様な洞窟内を進んでいる状況である。しばらくすると、洞窟の壁に開いている人工的な穴の中にリルが入って行く。
「…階段?」
穴をくぐると人一人が両腕を広げようとしても開ききれない程に幅の狭い通路があり、そこには洞窟の素材である光る水晶の様な石を削って作られた上りの階段があった。リルは説明をしながら上って行く。
「うん。移動は水の中がほとんどだけど、普段の生活は二本足だし、重いものとか食料を運んだりする時に使うんだ。もっと広い階段もちゃんとあるよ」
そうなのかぁと俺とレイティが感心していると、周りが徐々に明るくなっていく事に気が付いた。
「もうすぐ着くよ!」
階段を上がりきり穴から出ると――。
「――すごい…」
俺の前で上を見上げて立ち尽くすレイティの口から感嘆の溜め息が出た。俺もレイティの隣で同じ反応をしている。
そこは不思議な空間だった。海の中に居るというのに、俺達は水の中には居ない。片側の壁だけ外の景色は見えず、かわりに柱が並び、その間間に布が下げられていた。
此処はどういった所だろうかという疑問がわいてきたのを察してか、リルがちょうど良く説明を始める。
「此処は王宮の最下層で、厨房や支給係りとかが居る場所。リルは王宮付きの歌姫だから、此処の海上三階に部屋があるの。よくこうして洞窟内を散歩して、ショウを見つけた場所とかで歌の練習をしているんだ。さ、行こう!」
珊瑚色の真っ直ぐな髪を揺らし、軽い足取りで長い廊下を進んでいくリルを追う。
月の道を通り、辿り着いた此処は人魚族が暮らす国。そして、その王が住まう宮に今、俺達は居た。
つづく
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