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第十一話 知っていることと、知らないこと
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エウロラが与えた衝撃で、青年は壁に激突した。水晶岩の壁に亀裂が入るほどの衝撃を受けたという事は、骨の何本かは折れているに違いない。だというのに青年にはまだ意識があった。
治療をする為に布で青年の目を覆い、眠りの魔法陣を描く。傍らで酷く心配しているレイティの掌には、心を落ち着かせる効果のある魔法陣を描いて握らせた。青年が眠ったのを確認してから治療を開始する。
「…よし、これで良いだろう。念の為しばらく安静にしてもらった方がいい。レイティ、俺が君達の部屋を訪ねるまではこの布を取らずに青年を寝かせておいてくれ」
「わかりました」
使用人を呼んで青年を丁重に部屋まで運ぶよう指示する。
「…こんな目に合わせてすまなかったな」
レイティの様子から、この青年がレイティにとってとても大切な存在だと知った。魔法陣を描いた掌を胸に当てているレイティの頭を撫でる。
「また話そう。その時は、彼との話も聞かせてくれ」
レイティは口元にうっすらと微笑みを浮かべて言った。
「はい。ぜひ」
青年に付き添って部屋を出て行く姿を見送る事無く、急いでエウロラのもとへと向かう。重傷の青年になおも攻撃しようとしていた…あれほど取り乱したエウロラは見たことがない。止める為に抱き締めた時、細い体は小刻みに震えていた…俺の言葉を聞いて少し落ち着いたようだったが心配だ。
部屋に入ると高い天井から青く染められた薄布が幾つも垂れ下がっており、その布をすり抜けながら中央へと進む。この布は高い防音機能を持つ植物から作られており、加工しにくい水晶岩の壁や扉の代わりによく使われているものだ。
「…エウロラ」
エウロラは寝台に座っていた。自分の体を両手で強く抱き締めて俯いている。
「ライール…」
か細い声を聞いて、俺はエウロラの隣に腰掛け細い肩を抱き寄せる。
「………魔族自体に、恨みがある訳ではないのだ…。すまなかったと思っている…」
「…そうか」
「だが……あの目………あの目が…っ……」
抱き寄せている体が再び震え出した。
「エウロラ……何があったんだ?」
「…っ……今は、まだ話せない…」
揺れる菫色の瞳を覗いて、そっと青白い頬を撫でる。
「わかった…。話せるようになったらでいい」
なるべく優しい声を出す。エウロラ小さく頷き目を瞑った。
「…あの魔族…人間の姿をしていた」
「ん?」
エウロラは細い眉を寄せて考えている様だった。
「わたしもはじめ気が付かなかったほど、魔族の気配が無かった。…いや…全く人間と同じ。しかし、あの……あの銀色に光る目は人間のものであるはずがない。だから、魔族だとわかったのだ」
「…それは、どういう事だ?」
「魔族が気配を消し、人間に姿を変えるなど聞いた事がないが…。それに、自分達の縄張りから出てこうして国から国へ移動する事も珍しい」
「そうなのか…」
「一体何が目的なのか、聞き出さなければ…」
「それは俺がやろう。それに、言っただろう?リルが信用して連れてきた客人だ。そして、俺の家族が大切に想っている青年だ。……あまり、心配するな」
「…ライール………わかった…。だが、あいつがおまえやリル、この国に何か危害を加えたら、わたしはあいつを許さない」
「エウロラ…」
興奮したエウロラの菫色の目は、赤味を増してほんのり桃色に色づく。腰に回した手で強く抱き締め瞼に口付けた後、鼻と鼻を合わせて愛を伝える。
「ライール…」
エウロラは熱い息で俺の名を呼び唇に甘く噛みついた。
「ふっ…エウロラ、腹が減ったのか?」
俺が話す間にもエウロラはその柔らかな唇で俺の下唇をはんでいる。
「エウロラ、ははっ、俺は食べ物ではないぞ」
俺の口が開くと舌で歯をなぞり、俺の舌に触れてきた。その未知なる感触にぞくりと肌が粟立つ。
「っライール……やっぱり、だめだ…………お前を食べたい…お前に、食べられたい…」
「エウ、ロラ…?」
エウロラの目は、変わらず桃色だった。
「…ライール…わたしを、食べて?」
薄布を幾重にも重ねた服を肩から落とし、淡く光る青白い肌を俺の前に晒す。美しい手に導かれ、吸い寄せられる様に首筋に唇を当てた。滑らかな肌に舌を這わせる。
「ン…ライール…」
味わった事もない甘美な香りが広がる。薄く色づく胸の突起にたどり着くと、エウロラがぴくりと震えた。促す様に頬に細い指が添えられ、甘い果実を優しく味わう。
「ァ…ンッ…ハァッ」
エウロラから聞いた事もない様な甘い甘い声がした。手を握られもう一つの胸の突起へと導かれる。そこも指の腹で優しく撫でると徐々に固くなっていった。しばらくそうして味わうと、二つの突起がはっきりと姿を表す。エウロラの露わになっていた小さな下腹部のものも同じように桃色に色づき、先から涙をぽろぽろと流していた。それがなんだか勿体無く思え、その涙を舌ですくってエウロラのものを口に含む。
「ァアッ…ライールッ……ンッ…そ、な…ぁあんっ」
溢れ出る甘露を吸い上げると、エウロラは薄い体を痙攣させ脱力した。恥じらいに頬を染めたエウロラを見て激しく胸が高鳴る。そのまま寝台にエウロラを横たわらせ、甘美な全身を味わった。
「はぁっんっ…ライー…ルッ…ァゥッ」
「エウロラ…きれいだ…」
初めてエウロラを見た時、月の化身だと思った。見たことのない内側から光りを発する肌はまさしく月のようで、虹色に輝く髪とぼんやりとした菫色の瞳、細い体、夢のような声、そして気高い魂…その全てに魅力された。エウロラが俺に心を開くまで時間がかかったが、その信頼を勝ち得た時は本当に喜びで胸が張り裂けるのではないかと思った。
俺はまだエウロラの全てを知らないが、今こうしてエウロラに触れているだけでも幸せを感じる。
「んんっ…ぁっ…ああ…ライール…っ、ゆび…」
「ん?指?」
指を差し出すと、エウロラは俺の手を握り自分の穴へと導く。温かく柔らかいその入口に指を当てられた。
「ライール…入れて…わたしの中に…」
俺の指を少しだけ入れた穴がよく見えるようにエウロラはそっと両足を左右に開く。恥じらいながらも穴は期待にひくひくと収縮をしながら俺の指を飲み込もうとしていた。見たこともないその強烈な光景にくらりと視界が揺れる。俺の中で何かが音を立てて切れた。着ていた服を脱ぎ捨てる。
「ハァァッ…ア、ンンッ…ア、アァ…ッゥン…」
熱く柔らかな体内を指で掻き回せば、エウロラは今まで以上に乱れ、水から上げた白魚の様に体を何度も跳ねさせる。少し出っ張っている部分に指が掠めるとその反応が顕著に表れたため、そこだけを引っ掻き回した。素肌を合わせ全てでエウロラを深く深く愛でた。
「ァァアァアッ…ライールッ…ラィ…ルゥッ…」
甘い声で俺の名を呼ぶエウロラがたまらなく愛おしくて鼻の頭を合わせると、エウロラの両腕が首に絡んで赤い舌で俺の唇を舐める。口を開けると再び舌が俺の舌に絡んだ。その感触に背がぞくぞくと粟立つ。俺の指を飲み込もうとうごめくエウロラの体内や俺の舌に絡みつくエウロラの舌を感じると、本当に食べられているようで…それがとてつもなく幸せに感じた。
すらりとしたエウロラの両足も腰に絡み、腰を揺らして俺の固くなったものに自分のものを擦りつける。味わった事のない激しい感覚に頭が真っ白になった。俺もエウロラの熱い舌に吸い付き、腰を押し付け、指で体内の突起を加減もわからずに押し潰す。
「ッァァア――――――ッッ!!!」
きゅぅっと俺の指に柔らかな体内が絡みつき、エウロラは喉の奥で小さな悲鳴を上げながら体を痙攣させた。下腹部にある桃色の小さなものは、先から断続的に透明な涙を流し続けている。全てを吐き出し終えたエウロラは、くたりと寝台に倒れた。俺のものも何度か透明な液体を吐き出したからか、体がとてつもなくだるい。そのまま二人で眠りについた。
※
隣に眠る愛おしいエルフの顔を眺める。愛する人に抱かれる事で、こんなにも満たされた思いになるとは知らなかった。
(…あの魔族の目…)
銀色に光り、七つの色を反射する、あの目…。忘れたくて仕方がなかった…愛する人が出来てやっと忘れられたというのに、あいつの事を思い出す日がくるとは…。あいつによく似た銀色の目を見た瞬間、我を忘れ力の制御も忘れてしまっていた。思い起こされた記憶、あの日の感触が体中を駆け巡り震えた。熱と疼きがよみがえり、どうしてもライールに触れたくて、触れて欲しくてたまらなくなった…それがとても恐ろしかったが、何故だかライールを前にすると恐怖心が薄らいだ。
同じような行為だというのに、これほどまでに暖かく愛おしい気持ちが溢れるとは思わなかった…。相手がライールだという事がとても重要な事で、全く違う行為に感じた。
あまりにも幸せで、心地が良くて、ずっとライールに触れていたい…ずっと、抱かれていたいと思ってしまう。ライールの体温を感じていたくて体をぴったり合わせ、安らいだ気持ちで眠りに誘われた。
◇◆◇
夢をみていた。…いや、これは…記憶?
「ショウ…」
目を覚ませばまた忘れてしまう。
「ショウ」
それでも、心配そうなレイティの声が聞こえるから目を覚まさなければ。
「………レイティ……ライールさん?」
すぐ側で俺の肩を優しく揺すっていたのはレイティだった。レイティの向こう側にはライールさんがほっとしたように頷いていた。
「気分はどうだ?体を起こせるか?」
寝ぼけた頭でライールさんの言葉に従って体を起こした。
「え、?」
部屋の中を見回すと置いてある荷物から俺達に用意された客室だとわかった。しかし何故そこにライールさんがいるのだろう。状況がよくわかっていない俺に、レイティが俺の手を握りながら何があったか説明をはじめた。レイティの掌に触れている部分から暖かい何かが広がって心が落ち着いてゆくのがわかる。
…ああ、そうか。
やっと、人魚族の王様から攻撃を受けた事を思い出した。そうだ、あの時王様は俺の事を魔族だと言った。…俺は、魔族なのだろうか?
「君に、すまない事をしたとエウロラが言っていた。…だが、どうやら君の目が何かを思い出させるようで、見たくないらしい」
「そう、ですか…」
俺の目を、見たくない……………………そんなにやらしい目で見ていただろうか…。確かに淡く光る肌をしているという事もあって非現実的さが倍増してる感じのめちゃくちゃな美人だったが…そんなバレるほど視姦したっけ?…いや、やっぱり無意識に気持ち悪いと思われるくらいはいやらしい目で見ちゃってたんだな俺きっと…。あああ!!!俺二度と顔見せるなって言われてたよそういえばっ!!!嘘だろ!?!?やっちゃったよあんな美人二度と見れないなんて!!!
「ショウ。これはエウロラが気にしていた事なのだが…君は魔族なのに何故人間の姿をしているのか、と……教えてくれないか?」
はっ!王様はエウロラって名前なのか。名前まで麗しいな。ってか自分を視姦していた俺の事気にしてるのか…これは脈ありか?ふふふふふ…
「兄王……ショウは記憶を無くしています」
妄想にふけっていた俺の代わりにレイティが答えた。慌てて王様に顔を向ける。
「はい。魔族だっていう事すら、俺自身初めて知りました」
「…それは…、」
軽く驚いて言葉を詰まらせたライールさんに頷き続ける。
「そう、"たぶん"記憶を無くしていると思っています。……今の俺の最初の記憶は、エルフの森に居たこと…」
そして、ライールさんにこれまでの経緯をレイティと一緒に話し始めた。ライールさんは考えながら聞いている。
「…そうか…。それでは魂は、今の体が本来の自身の体ではないと思っているのだな。確かに、この場合は体の持ち主がショウなのか、この体ではないと思っている魂がショウなのかはわからない…ある意味、記憶喪失と言ってもいい状況だ」
俺が"たぶん記憶喪失だ"と言った理由をわかってくれたライールさんに頷いてみせる。
「…何が起こったかは記憶を取り戻してみなければわからない、か…。どんな事情があったにせよ、魔族が関わっているのなら用心した方がいい」
「はい」
ライールさんの真剣な眼差しに、気持ちを引き締めて頷いた。
「…そう、何が起こるかはわからないからな……」
ライールさんはレイティの頭を撫でた。これからの旅を思って、レイティの身を心配しているのだろう。その時、レイティの掌に模様が見えた。
「レイティ、それは?」
俺の目線を追って掌を見たレイティは思い出した様に話し出す。
「ああ、これは兄王が描いてくれたものだ。…これがあると、何故だか心が落ち着く」
「それはもしかして……魔法陣、ですか?」
レイティの掌からライールさんに視線を移して問いかける。
「そうだ。やはり君達も魔法陣の存在を知っていたのか」
「本当に名前だけ、と言っていい程度ですが…。旅人の日記に少し書かれていたので」
「……あれだけで本物の魔法陣がどういうものかわかるとは…」
「あ、いいえ。実は…レイリウス様が用意してくれた荷物に、月の紋章に似て非なるものが描かれていたので…」
「!…レイリウスが…それを、見せてくれないか?」
レイティが服の裏に縫い付けてある紋章をライールさんに見せると、ライールさんは一瞬驚いた後に微かに笑った。
「…さすがレイリウスだ」
小さく呟いた言葉は確かにそう言っていた。
「君達、腹が減っているだろう?もうすぐ夕食の時間だ。色々話しながら此処で一緒に夕食を食べて構わないか?」
「ええ、もちろんです」
――チリリン
レイティと俺が快諾すると同時に、控え目な鈴の音が給仕の来訪を知らせた。
つづく
おまけ
・・・
その頃エウロラは、ライールの帰りを今か今かと待ちわびていた。
「ぁっあっ…ぅっ」
ライールが出掛ける前に、やはり離れ難く思ったエウロラは、ライールを呼び止め唇を合わせた。舌を絡めただけで、再び二人の体内に炎が灯る。だがライールはそれを振り切り、優しく鼻頭を合わせたのでエウロラは諦めた。しかし、体内の熱は消えることなくくすぶり続けている。
「ふぅっ…ん、ぁっ」
片方の手は胸の飾りを弄り、もう片方の指は穴を広げ中を掻き回す。
「ああっ…ライールゥッ」
掌に擦りつけている下の小さな突起からは、たらたらと愛蜜がとめどなく溢れていた。甘い声を漏らし、悩ましげに腰を揺らして快楽を追っているその目は、熱に浮かされ涙で潤み、薄い桃色に染まっていた。目だけでなく、青白い肌も恥じらうように桃色に火照っている。先ほど触れていたライールを思い出しながら体を追い詰めていくが、最後まで達することができないようで、中途半端な高ぶりのままゆるゆると快楽に耽っていた。
「ライー…ルッ…ァ、はっ……はやくっ…ほし、ぃ…ラィ…ルゥッ」
甘く切なく鳴くエウロラの声は、ライールが部屋に戻って来るまで歓喜にむせび泣く声にかわることはなかった。
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