アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
僕の恋
-
「なぁなぁ、北都、サクドロ見たか?」
こいつは知らない。俺がサクドロのメンバーだってことは。
しかも、だ。今は地味で、眼鏡でドジっ子を演じなきゃいけないこの僕、満月北都(みつきほくと)が、超人気アイドルグループ『サクラドロップス』のメンバー愛宕(あたご)だと言うことは知るよしもない。
『愛宕可愛い愛宕可愛い』うるさい。それ俺だから。(半分呆れ気味)
俺の好きな星一(せいいち)は一向に気づく気配がない。いい加減気付けよとイライラしている僕。
男をなんで好きになんなきゃいけないんだって思うけど、思わずにはいられない。だって、いじめっ子から守ってくれたのが星一なのだから。小学校の頃僕は陰湿ないじめにあっていた。顔が可愛いからっていう理由で。
そんでもって、クラスの女子の望ちゃんというマドンナ的存在がが僕を好きだと言って来て騒ぎになったからだ。
その頃、星一はみんなのリーダーとして君臨していたものだから、星一が言うことをみんなが信じて受け入れる訳で。
転校してきて少しして、いじめが発覚した時、星一はなんて言ったと思う?
『なんだ、可愛いやつじゃん、なんでこいつのこといじめんの? いじめかっこ悪いし、やめようぜ? 胸糞悪くなるだけじゃん。やられてやなことはするなって言うしな。少しは大人になろうぜ?』
の一言でクラスの全員がいじめを止め、普通に接してくれるようになったのだ。恩人といえば恩人。可愛いヤツって言われた時、僕は不覚にも赤くなって照れてしまった。
みんなの人気者である星一は、曲がったことが嫌い。だからいじめも嫌い。やめよう。
たったそれだけで僕はいじめられっ子から一転、ドジっ子で可愛いヤツというポジションを得たのだった。
悔しいけど、その時から俺は星一のことが好きでたまらなかった。あの苦しい時に救ってくれた恩人だから。
その恩人はだ、僕を好きだという。めっちゃかっこ可愛いという。今の俺に対してじゃなくてだ。『愛宕』に向けていうその眼差しはキラキラとしていて、
ムカつくくらい恋してる。ずるい。俺は今の俺を好きになってほしいのに、偽りの『愛宕』という存在の俺のいわば仮の姿に嫉妬の炎メラメラ。超メラメラ。悔しい。
音楽の時間は天敵だ。だって、歌をわざと下手にうたわなきゃいけない。苦労するんだぞ?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 4