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谷中君を押しのけ僕の元へと駆け寄る彼女は谷中君に怒りを見せ、僕自身に怒りを見せていなかった。
そしてこの時初めて気がついたが、僕は猫耳と首輪を付けたままとなっていた。
恥ずかしさがこみ上げすぐに外そうとしたが猫耳は髪に引っかかり、首輪もどこで除けたらいいのか全く分からなかった。
(うっわ・・・・は、恥ずかしい!!早く、早く除けて・・・・謝らなきゃ!!)
目の前が霞み視界がぼやける。焦る僕に対して彼女は「大丈夫よ」と優しく声をかけて背中を擦ってくれた。
そして頭に付いていた猫耳と首輪を除けてくれた。
(僕を・・・・嫌いじゃないの?)
声に出すことのない疑問。
僕の困惑した表情に気がついたのか、彼女は僕に優しく微笑みかけた。
「ごめんね、本当はこうなる前に止めたかったんだけど。隆の悪い癖。誰にでも猫耳とか付けたがって愛でたいのよ」
「癖?だ、誰にでも・・・・?」
「そう。隆!あんた源道君に謝りなよ!!」
(癖?誰にでも?じゃあ・・・・僕じゃなくても、谷中君はよかった?僕以外でも・・・・こう言うこと、してるってこと?彼女にも?)
胸が締め付けられたように痛む。
どうして痛むのか、その痛む理由は僕には理解しかねた。
谷中君は少し離れた所で正座をし、落ち込んでいる様子だった。まだ名前も知らない彼女が何か話していたが僕の耳には何も届かない。
ただただ悲しくて惨めで、僕はこれ以上ここにはいられなかった。
「九重和泉っていうんだけど・・・・源道君大丈夫?話、聞いてる?」
「・・・・え?」
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