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どちらかというと僕より谷中君の方がメールや電話が出来ないと嘆いていた。
彼氏彼女でもないからそこまでの連絡は必要ないのだけど、谷中君は『友達』をとても大切にしているし、谷中君から友達として認識されていることに僕は嬉しかった。
朝の早い時間帯の電車に僕たちは飛び乗り、隙間の空いた座席に並んで腰を下ろす。
そして谷中君はポケットからイヤホンを取り出し携帯につなげる。僕は待ってましたと言わんばかりに片方のイヤホンを耳に装着し携帯をのぞき込んだ。
係長がいびきをかいて寝ている姿。
思わず声に出して笑ってしまう。
「可愛いね」
「え?」
「ん?係長がだよ」
「あ・・・・そ、そうだね」
分かっていても反応してしまう。
谷中君の「可愛い」と言う言葉に。
前に僕に対して「可愛い」と言ってくれた谷中君だけど、実はあれから「可愛い」と言われていない。
決して僕が本気で可愛いわけではないし言われたい訳でもない。が、あんなに言われていた言葉を急に言われなくなってしまったら流石に僕も気になって仕方がない。
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