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始まりの話 3
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話をしてみると、神木坂は案外話しやすいやつだった。
イケメンでハイスペックなヤツなんて実は裏では女遊びが激しかったり他人を見下してたりしてんじゃないかと勝手に構えていたが、話してみるとどうやら神木坂は内面もできたやつらしい。
なんかもう、最初から疑ってかかっていた自分の僻み根性が恥ずかしい。
一度本人に
「お前顔も良くて勉強もできて運動もできる癖に性格まで良いとか意味分からん!ちょっとは慎め!凡人に配慮しろ!僻むぞ!!」
と難癖を突き付けたことがあるが、
「自ら僻む宣言する人初めて見た…」
と腹を抱えて笑っていたので「僻みチョーップ!」と頭に手刀をお見舞いしてやったら笑いすぎで再起不能になっていた。
そう、神木坂は意外にもゲラだった。
たいして面白くもないであろう俺の話にも、その整った顔をこれでもかと言うほどくしゃくしゃにしてしょっちゅう声を上げて笑った。
笑いすぎてついには涙を流すことも少なくない。
曰く「田中の脳みそ通さず勢いで話してるみたいなところがツボ」らしい。
えっそれ馬鹿にしてない?
でもまあ、自分と話してそれだけ笑ってもらえるというのはまあ悪い気はしなくて、その笑い声につられてこっちまで楽しくなってしまうのだから、俺にとって神木坂の隣は特別に居心地が良いのだ。
話す前は「あんな美形の隣になんて絶対に立ちたくない」と思っていたのだから、偏に神木坂の人柄のなせる技だと思う。
そんな完璧人間なのに、何故常に俺と一緒にいるようになったかは心底謎だ。
ただ本当になんとなく、自然と、気付いたらそうなっていた。
神木坂は人気者で気付けばよく人に囲まれていたけれど、そんな中でも俺を見つけると嬉しそうな顔をしてひょこひょここっちに来るもんだから、そんなそいつの様子に僅かな優越感を抱いたりもした。
小っ恥ずかしいから口には出さないけれど、確かに俺たちは“親友”なんだと思っていた。
その自分の感情が揺らぎ出したのは、出会ってから一年が経って、2年に上がってからだった。
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