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「で、弟君は大人しくなったと……お前は風俗嬢かよっ」
「ちげえよ兄弟間のスキンシップだ!」
同じクラスで席が前後の所謂親友という間柄にある戸川直光(トガワナオミツ)に、この前あったことのあらましを伝えた第一声がこれだった。
弟がまともになって嬉しいと報告したらこれだ。
正直に全てを話してしまう真冬も真冬だが、その話を散々ネタにして笑い転げる直光も直光だ。
なぜか席替えするたびに前後左右どこかで一緒になる運命を持った二人は3回目あたりからまたお前かと言い合うようになり、5回目を超えてからは周りから仲良しだと噂され、学年が上がった7回目には親友にされていた。全て周りがそう呼んでいただけだったが、いつの間にか真冬も直光も一番つるむようになっていた。
「腹いてえ……弟君にまだ処女奪われてないわけ?」
「しょ……んなこと絶対あってたまるか!」
からかわれてるとわかっても赤面してしまう真冬に、直光はその顔すら馬鹿にして笑っている。
「いやーでもさ、2卵性ってこうも似ないもんなのかな〜。篠宮兄弟って完全に真逆な性格だよな〜」
容姿の話じゃないことは文脈でわかったので真冬もそれに同調して言葉を返す。
「俺もどうして似ないのか不思議だ……育って来た環境は同じはずなのに」
どうしてここまで軽い男になるんだ、という不満も込めて言うと、直光はそれを見て吹き出した。
「まあ弟君はこんな初心になんなくてよかったと思うよ〜。こんなんじゃ女の子抱けないし」
「だっ、何言ってんだよ」
「種の繁栄として大切だと思うけど?あ、でも篠宮家はもう一人兄貴いるから大丈夫か」
直光の言葉に赤面するも、兄の話を持ち出されて考える。
「兄さんもちょっと……あの人ナイーブだから」
現在大学3年の兄の節季(セツキ)は小学生の時の失恋がトラウマで女の子恐怖症である。その話も戸川にすると、なんともいえない顔をされた。
「うっわー篠宮家の存続は弟君に一任されてるじゃんそれ」
「おい俺は!?」
「無理だと思うよ〜」
けらけら笑われてムカついたので、真冬はそのまま次の授業担当が来るまで不貞寝を決め込んだ。
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「兄貴〜ちょっと触らして」
「もう3分待て、この問題解いたら」
「……また俺は我慢?」
秋人はほぼ毎日風呂上がりに抱きついて来る。
真冬から石鹸の匂いがして、なおかつ体が暖かいのがいいらしい。
末端冷え性の真冬は直ぐに体温が下がってしまうため、ぽかぽかのタイミングは貴重なんだと熱弁された。
「しょうがねえな、ほら……来いよ」
「ん!」
勉強を切り上げてベッドに座ると、腕を広げて待機する。直ぐにがばりと抱き込まれて、そのままベッドに倒れこんだ。
真冬と秋人では秋人の方が若干体格がいい。そのため衝撃に耐えられず倒れこんでしまうのだ。1度床に頭をぶつけてからはベッドに座るのが常となった。
「はー……安心する、兄貴あったけ〜」
「風呂上がりだからな」
抱きしめやすいよう背に手を回してやれば、それに気づいた秋人も同様に後ろ側へと手を伸ばす。そのまま暫く抱き合っていると、秋人がふと口を開いた。
「なー兄貴、背中んとこちょっと触っていい?」
「は?触ってんだろ」
「そーじゃなくて、直にさ……素肌が恋しいんだよね」
今こうして抱き合っていると言うのに、秋人が触っていいかと聞くから不思議に思うと、直にと言われて固まる。
「やだよ、寒いし」
「布団かければ寒くないし、俺の手あったかいよ、ほら」
寒いからと断ると秋人の手が頬に触れてくる。確かに暖かい、秋人は真冬と違い平熱が高く、冬の寒さにもつよい。夏は完全にダメ男だが。
「絶対変なとこ触んないし、なあ……兄貴、だめ?」
抱きつかれたまま耳元で甘えた声を出す弟に、真冬は大きなため息を吐いた。
「……しょうがねえな、秋人は」
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