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眠れない
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─────…
ふかふかのベッドに入って数時間。雅弘は眠れないようだ。なぜなら悪夢をみるのが怖いからだ。
佳那はそれに気づいていたらしく、雅弘の背中にくっついた。
佳那「眠れないんですか?」
雅弘の体がビクリと揺れた。
雅弘「ごめん、眠る邪魔しちゃったね…」
佳那「いえ…」
雅弘の辛そうな様子に、佳那は何かできないか考える。
佳那「子守唄でも歌いましょうか?」
雅弘「いや…大丈夫」
これは、流石に子供扱いみたいになる。佳那はふわふわした髪にそっとふれると、優しく優しく頭を撫でる。
大人の頭を撫でる機会なんてめったにないだろう。背中を向けたままの雅弘の表情は見えないが、きっと嫌な顔はしてないだろう。
雅弘「かなくん……」
佳那「はい」
眠そうな雅弘の声に佳那は柔らかく答える。
佳那と何度も名前を呼ぶ雅弘。弱々しく、消えてなくなってしまいそうな、そんな感じがする。
夢の世界の境界線でさ迷う彼は、何か恐ろしいものを見たくないと必死である。
雅弘「かなくん…」
佳那「僕はここにいますよ」
雅弘「かなくん……寝るのが怖い」
雅弘の弱音に、佳那は包み込むようにこう答える。
佳那「大丈夫です。僕が一緒にいます。だから、大丈夫です。怖かったら、僕が雅弘さんを助けます」
責任の無い答え。本当にソレを守ってくれるか雅弘は不安になる。
本当に助けてくれる?
罪人でも助けてくれる?
雅弘「………かな」
佳那「おやすみなさい。雅弘さん」
睡魔には勝てず、すっと闇の世界へ吸い込まれる。佳那は雅弘の寝息が聞こえた後、ゆっくりと目を閉じた。
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