アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
男子高校生の俺たち〜修二〜
-
街頭の下に照らされた人物は、黒スーツを身にまとい、髪は金髪のオールバックで、左頬に大きな傷跡、もう夜9時になるというのにグラサンをかけた年は30才位のそっち系に見える人物。
修二の家の灯りをキョロキョロと覗き込もうとして少し迷ってるようにも見える。
まだ、修二と華南の存在に気づいてはいない。
華南「修二?」
状況を察してくれた華南が声を潜め、僕ちゃんの手を取ってギュッと握ってくれた。自分が今華南と一緒にいるんだとぱっと我に返った。
ギュッと握られた手、自分の手が震えていることにそこで気が付き、華南を見ると、心配そうで強い眼差しで見られていたが、華南は黙って僕ちゃんの言葉を待ってくれている。
修二「……ッ、送ってくれてありがとう、もう、大丈夫だから、帰って」
華南「は?」
帰るわけねぇーだろ、と言わんばかりに睨まれて、言葉に詰まる…、「帰って」と言いながら、震える手が華南から離れない。
駄目だ、笑え、笑え僕ちゃん、今ここで笑って華南を帰さなきゃ、後悔する!
自分を奮い立たせ、唇を噛んで。華南から手を離す…が、強い力で華南に肩を抱かれて耳に華南の低い声が落ちる。
華南「こっち見てる…」
ギクッ!……
それが何を指すのか分かって、またビクリと肩を震わす。
修二「に、逃げて」
華南「もう遅い」
胸を押したが、華南は僕ちゃんを引き戻し、視線は僕を見たまま、意識はこちらに向かって歩いてくる男に向けられていた。
革靴の音が近づいてくる。
震える手を華南に再びギュッと握られて、僕ちゃんは奮い立った。
修二「華南、何が起こっても喋らないで」
逃げられない…なら…、笑うしかない。今は一人じゃない。華南がいる、華南がいてくれる。
男「…やっぱ…家はまずかったなぁ…、会わずに顔だけ見ようと思ったんだけど…、そいつが“むつ”?」
男は馴れ馴れしくも低い低い声で話しながら修二と華南の近くで足を止め、むつの名を口にすると少しばかり不機嫌そうになった。
修二はすでによそ行きの顔を作って、へらっと笑う。
修二「違いますよ、百目鬼(どうめき)さん」
名前を呼ばれて、あるいは、むつではないと言われて、百目鬼はニヤリと口角を上げる。
百目鬼「神(じん)さん、とは呼ばねぇーの?」
修二「接近禁止命令があったと思いますが」
修二がしれっと続けると、男はクックと喉で笑った。
百目鬼「制服か、まだ高校生だっけな…、身長伸びたのなぁ。そんで?そいつは新しい男か、あ?」
男の口調はからかうようで、僕ちゃんの隣に立って肩を抱く華南を下から舐めるように見て、サングラスごしの視線を僕ちゃんに戻した。
修二「関係ないですよね?」
にっこり笑って首を傾ける。
男はポケットから黙ってタバコを出し、ジッポで火をつける。大きく煙を吐き出して、おかしそうに言った。
百目鬼「関係ならあるぜ、お前さんの初めての男は俺様だからな」
華南「ッ!」
修二「…それで?」
修二が顔色を変えずににっこり尋ねると、少しだけ男の眉がピクリとした。
百目鬼「冷たいねぇ…、こっちはお前の体恋しさに一目見に来たのに、お前は新しい男作ってお楽しみか?」
男はダバコを咥え、煙と一緒に吐き捨てるように、それでいて愉快そうに口を開く
百目鬼「その汚ねぇ体でたらしこんだのか?恐れ入るね、淫乱」
修二は動じなかったが…
華南が、回してる腕に一瞬力が入る。男はそれを見て、ニヤリと笑った。
百目鬼「はは、マジに身体使って落としたのかよ。いい具合だろ?そいつ。俺たちが仕込んだんだ、元々素質ありまくりの淫乱だったけどな」
華南の反応を楽しむように口にして、またタバコを咥えて煙を吐く、が、華南も睨むだけで一歩も動かず、修二にいたっては平然としている。
修二「楽しく過ごしてますよ、色々バリエーションあって」
百目鬼「…言うね…、そいつには全部話してますってか?」
修二「何しに来たんですか?」
百目鬼「…。言ったろ?一目見に来た…。お前が奴と付き合ってたら面白くねぇーと思ってなぁ…、あいつには好きだって言ったのか?言えねぇーよな?そこの兄ちゃんには言ってやったのか?好きだ、愛してますって」
修二「百目鬼さん」
百目鬼「言えねぇーよな、はは、言えるわけねぇーよな、俺は今でもお前が好きだぜ修二、また楽しもうよ」
修二「帰ってください、兄貴に見つかったら、今度こそ殺されますよ」
笑みを崩さず、にこやかに言ってやると、百目鬼はつまらなさそうに、ツバを吐き捨て、タバコを落として踏んだ。
百目鬼「相変わらずだな…、いいや、今度ゆっくり茶でも飲もうぜ、暫くしたらこっちに仕事があって一週間ほどいるからよ」
修二「接近禁止命令」
百目鬼「はは、じゃあ、“むつ”の顔でも拝んでくるかな?」
修二の顔色を伺うように言ったが、修二は平然として、少し呆れるようなため息混じりで名前を呼ぶ。
修二「百目鬼さん」
百目鬼「はは、冗談。………またな」
男は手を上げると踵を返して歩き出し、ポケットに手を突っ込んで、またタバコに火をつけ、もう一度手を上げてヒラヒラと手を振る、振り返ることは無く姿を消した。
そうして、男の帰った方角をジッと眺めていた修二は、男が消えても動かずにいた。
華南「………し」
華南が声をかけようとしたら、修二は弾かれたように家の脇の草むらに駆け出した、華南が驚いてると、崩れるように膝をついて嘔吐した。
慌てた華南が、鞄から飲みかけの水の入ったペットボトルを出して近づく。
華南「修二、ほら」
修二は、華南に差し出された水を見て、屋上の出来事を思い出す。
黙って受け取り、口をゆすいで、残りを飲み干す。
あの日と一緒で、華南はうんこ座りでこっちをジッと見ていた。
僕に聞きたいことがあるはずだ…、でも言いたくない…
修二「………ごめん」
華南「…。」
修二「……俺、帰る」
フラリと立ち上がると、強い力で引きよせられ、気が付いたら華南の腕の中だった。
修二「は、離して!」
華南「なんで?」
華南の力が強すぎて、僕ちゃんでは振りほどけない…
修二「僕汚いし」
華南「服についてない」
修二「そうゆう問題じゃなくて…」
華南「…」
急にグイッと顎を持たれ、華南の顔が近づく。
修二「ばッ!」
馬鹿、と言い切る前に僕ちゃんは華南の口を手で押さえて押しのける。
華南「キスしたい」
修二「は!?だから僕ちゃん今吐いたし!!」
華南「もうゆすいだ」
修二「い、家の前だし!」
華南「じゃ、どっか行こう」
修二「バカじゃないの!」
華南「修二、好きだよ」
ビクッ!
華南の真っ直ぐな言葉と眼差し、僕にはもったいなくて、眩しい…
好き…
僕も華南が好き…
華南「お前は?」
修二「…僕は…」
華南の目が見れない…
修二「…俺は…汚い…」
言葉がこぼれた瞬間、華南が両肩をガシッと掴んで一歩離れたと思ったらグッと顔が寄せられ、その顔はニヤリとしていた。
へ?
華南「言ったな」
修二「え?」
華南「今、汚いって言ったな」
修二「…うん」
ニヤケ顔、でも目は怖いくらい真剣で修二はあっけにとられて答えるだけになってた。
華南「前の奴のグロッキーな感情を持ち込んだら、全て話す約束だったな」
な!?
修二「ずるい!」
華南「何が?」
修二「今わざと…!!」
華南「ずるくない、キスしたいって言っただけじゃん」
してやったりって顔した華南にムカついて腕を払うと、スルッと手が指を絡めて握られた。華南は僕を逃がすつもりは無いらしい。
嫌だ…嫌だ…
甘い夢が…終わってしまう…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
171 / 1004