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俺たちに射す斜陽〜むつ〜
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そして現在。
俺は修二に謝ることと、例の事件のことは、修二から話してくれるまで気長に待つことを約束して、華南から解決策を伝授された。
それは、とんでもなく短い一言。
華南『甘えてもらいたきゃ、むつが甘えりゃいい』
どういうこと?
俺は、修二に甘えてもらいたいんだが…。
謎が深まる。
…でも、今。
それどころではない気がする。
学校に奏一さんが来て、修二が殴られた。一体何が起こってる?
次の日。
学校には先に行って欲しいとメールがあり、凄く心配したが、修二は普通に登校してきた…
…ように見える。
修二「あはは!読んだ読んだ!マジおかしいよねぇ!僕ちゃん声出して笑っちゃったし!この展開いつまで続くんだ?このまま運だけで王様になるのかなぁ?」
克哉「なるなる!俺の予想ではなるねぇ」
修二「続き気になるし、雑誌読んじゃおうかなぁー」
克哉「おいおいずりーよ、俺たち単行本派だろ!話しできなくなるじゃん」
修二「あはは、そうでした、こりゃ失敬♪」
むつ「…修二」
登校して来た修二は、克哉と漫画の話で盛り上がってた。
俺が名前を読んだら、俺に気がついてにっこりしてこちらにかけて来た。
修二「おはよう!むつ、華南。昨日はごめんね」
両手をパチンと顔の前で合わせて、ぺこりと頭を下げてから、俺たちの様子を伺うように顔を覗かせた。
俺は、修二に違和感を覚えた。
それは、華南も同意見。
…なんかおかしい…
華南が違和感に訝しげな顔をした。
華南「大丈夫か?」
華南が尋ねると、その視線に、修二は自身の左頬に触れ「あぁ」と、思い出したように笑った。
昨日、奏一さんにはたかれたところが腫れている。
修二「コレ?大丈夫大丈夫、心配した?ごめぇ〜ん、兄貴と初めて喧嘩しちゃった」
修二は明るい口調でぺろッと舌を出す。
修二「兄貴マジ恐いのね、皆も恐かったでしょ、ごめんねぇ。でも、ちゃんと謝っといたから、まぁ今日からしばらく送り迎えするって約束で許してもらった」
何があったのかは聞けない。
谷崎に、強く止められてる。
修二が話してくれなきゃ、俺たちは何も出来ない。
むつ「修二…あのさ…、今までごめん、俺、イライラしてお前のこと困らせてた、嫉妬とかしてて、こないだのお菓子とか、お前じゃなくて女が作ったやつかと思ってて…」
修二「え、謝んないで…そうだったんだ、僕ちゃんが言い忘れたのがいけないんだよ、それに今までのも僕ちゃんがちゃんとしてなかった、ごめんね、むつ、これからはもう困らせない、約束守るから」
むつ「お前は悪くないよ、俺が悪い、俺が謝ってるんだから謝るなよ」
むつが最後に口をとがらせる
修二は少し困ったようだったが…
修二「…うん、分かった」
修二は頷いて、
“キレイに”笑った。
仲直りできてむつは一安心。
修二は優しいからなんでも許してくれる、でも謝ってるのに謝られたら俺の立場がない。
俺、決めたんだ、なるべくイライラしない。エロテクのある懐の広い男を目指すんだ!
修二「そうだ、今日からテスト勉強する?」
むつ「え…、大丈夫なの?」
むつも華南も不安気な顔をした。奏一さんにとのことが、心配だった。2人から見て、修二に対する違和感が強まる。
修二は明るく笑って2人を気遣うように軽い調子で続ける。
修二「大丈夫大丈夫。兄貴の車でむつの家に皆で行く事になるけどね、あ、兄貴は送ったらすぐ仕事行くから」
…修二はその後もこの調子だった…
昼休み屋上。
修二「雷太君これうまいよ、どうやって作るのぉ?」
雷太「ありがとうございます!これは簡単ですよ〜…」
なぜか雷太の隣でイチャイチャ。
むつ「やっぱおかしい…」
俺が眉間にシワを寄せると、俺の左隣で華南も同じ顔をした。
俺たちの向かいに座る2人を眺め、訝しむ。
華南「俺もそう思う」
吉良「どこが?」
俺の右側のにいた吉良さんが横槍を入れてきて、俺たちと修二を交互に見た。
むつ「笑わないんだ…」
吉良「笑ってんじゃん」
華南「笑ってない…」
表面上の話をしてるんじゃない。今日は一日中チャラ男チャンネルのままだ。
俺たちといる時は、素になって柔らかく笑ってたのに、今日は1度もそれがない。
いくら俺が鈍感でも、1度も分かったことを忘れるほどポンコツじゃない。
修二「3人とも…、本人に聞こえるよ?」
吉良「修二がおかしいってさ、…ってか左頬腫れてるのと関係あんの?」
修二「兄貴と喧嘩しちゃった」
吉良「ゲッ!!…ってことは、それ、奏一さんの手のひら?」
吉良さんは、細い目をめいいっぱい広げて、恐ろしいものを見たと青ざめた。
吉良「お前、何やらかしたの?」
修二「えへへ、お家の掟を破りました」
吉良「掟?」
修二は読み上げるような調子で、指を折ながら説明する。
修二「兄貴の電話は絶対出るべし。嘘は絶対許されない。兄貴に絶対服従するべし。オールアウトしちゃいました」
吉良「うわぁ〜、天下の朱雀の特攻隊長様に逆らうなんて、やっぱりお前のことは好きになれないわぁ〜」
朱雀とは、ここら一体を牛耳ってる族の名前。奏一さんと谷崎は、昔その族に所属していた。奏一さんは見た目スマートでクールだが、特攻隊長様務めるくらいやんちゃで強かった。逆らうなら、命が無いものと思った方がいい。
でも、バイク事故を切っ掛けに引退して、今では3店舗を経営する社長だ。
修二「只今兄貴は絶賛ご立腹中。だから僕ちゃん凄ぉ〜く落ち込んでるんですよぉ〜。ねぇ、慰めて、華南」
は?!なぜ華南!?
修二は華南の左側に来て、しゃがみ、コテっとおでこを華南の肩に乗せた。
ちょっと驚いた華南は、そっと修二の頭を撫でてやる。
修二は顔を上げ、にっこり微笑んだ。
むつ「なんで俺じゃないんだ!?」
思わずでかい声を出すと。
キョトンとした修二がこちらを見た。
おかしいだろ?慰め役は唯一俺が修二を甘やかせる時間なのに!しかも、今修二自分から甘えに行ったよな!?
修二「慰めてくれるの?」
むつ「慰めるよ!俺だって肩くらい貸せる!」
華南と張り合っても仕方ない…、それに無理に甘えろって逆効果だって分かってたけど、声を出さずにはいられなかった、俺が唯一修二を甘やかせる時間。拒否られるって分かってても、それでも譲れなかった。
修二「じゃ、お願いします」
そう、嫌だって断られても…、
…え?
今、お願いしますって言った?
修二が俺と華南の間に入ってきて座り、俺の肩にポテッと頭を乗せてきた。
あれ?
修二が俺に甘えてる?
人前で…?
雷太「あー!ずるいっす!僕も僕も!」
むつ「お前は来るな!」
修二「ごめんごめん雷太」
雷太の叫びに、修二がすぐにパッと頭を起こす。
あっ!ちきしょう、雷太のせいで修二が離れたじゃんか。
華南『甘えて欲しいなら、むつが甘えちゃえばいい』
とっさに思い出した華南の言葉に、むつはすぐさま行動した。
隣で立ち上がろうとする修二を掴んで座らせ、そのまま修二の足に頭を乗せて寝転んだ。
修二「え…」
今度は修二が驚きの声を上げる。
むつは照れ臭くて修二の顔が見れず、とってつけたように言い訳した。
むつ「今度は俺の番な!5分寝る!!」
修二「……ぁ…うん」
心なしか声が震えた気がしたが、すぐにうるさい犬が遮った。
雷太「ズルイ!!僕も膝空いてます!」
むつ「うっさい、男の硬い膝なんてまっぴらだ!!」
雷太「え〜!修二さん男じゃないですかぁ〜!」
むつ「修二はいいんだよ!」
雷太「うわ〜ん!!」
こうして賑やかな屋上は、今日も雷太が騒がしい。いい加減諦めてくれないだろうか?
修二「……」
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