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俺たちに射す斜陽〜華南〜
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俺とむつは、修二をこないだのラブホテルに連れ込んだ。
修二は今弱ってる。
だから、話しは後日にしてやろうと思っていたが、後回しに出来ない決定的な台詞を吐いた。
修二『抜いてあげるから…許して』
抜いて…あげる?
『女が出来るまでのダッチワイフの間違いだろ?』
『修二がそう言ってたんだが?』
百目鬼の言葉が頭を過る。
どうやら、悠長にしていられない事態になってるようだ。
数日前、むつが言った。
むつ『修二がおかしい…。あの目をした後に普通にしてるなんて今まで無い…。怒ってる?それとも…』
詳しく聞けば、修二は発作的に目が曇る時があるらしい、その時は決まってむつが抱きしめて眠るという。
でも今は、多分百目鬼が関わってると思って、むつにもう少し様子をみようと言ったのは俺だ。だが、今回はどうやらむつの強引さが必要のようだ。
修二の思考は、多分あらぬ方向に走って行ってる。
先ほどからの言動に、おかしな言葉が混じってる。
百目鬼に何かされ、心にダメージをうけてるから、今問い詰めるのは可哀想だと思っていたが。
俺たちが修二をダッチワイフ(性欲処理)の様に扱ってるなんて思われてるなんて我慢ならない。
今すぐ、心の中を吐き出してもらう他ない。
ホテルに修二を連れ込む。
むつのキス責めが効いてるのか、余り抵抗しなかった。ただソワソワしていて、部屋に入るなり、手を引くむつを止めて、修二が風呂に入りたがった。
修二「待ってむつ、シャワー入るから」
むつ「待たねぇよ、すぐ誤魔化しやがる。全部吐いてもらうぞ、この痣は誰に付けられた?まさか百目鬼さん?」
絶対そうだ。しかも、修二は初めに怪我を心配された時、おかしなことを言った。
『舐めときゃいい』
痣に対して舐めときゃっておかしくねぇか?
修二「違う違う、百目鬼さんはお昼奢って貰って別れたよ。これはぶつけたの」
むつ「嘘つくんじゃねえ、誰にヤられた、ヤナギ達か?」
修二「何を根拠に嘘だって決めつけるの?」
むつ「〝かん〟」
固まった修二。野生児をどう説得するか考えてるようだ。
そして俺は今、修二を見て、固まっている。
何故って?修二が風呂に入りたがるのは、考えたくはないが、もしかして百目鬼に強姦されたから?…か?百目鬼は、電話で『後ろが閉じるほどほっとくなんて』って言いやがった。確かに、かれこれ2週間以上してない、後ろが閉じてしまうのも当たり前だ。でもむつの前で問い詰めるのは、修二の精神にさらなるダメージを与えかねない…。
俺がグルグルしていると、むつは修二を壁に押さえつけてキスを繰り返していた。
さっき公園にいた時より、修二の表情が崩れてきてる。
しかし、次の瞬間、修二の悲鳴にも似た叫び声が部屋に響く
修二「嫌だ!!!……お願い…汗かいてて気持ち悪いから」
むつが修二のワイシャツをめくろうとしたら、修二が過剰に反応して懇願した。
俺が止めに入ろうとしたら、むつはその前にすんなり修二を解放し、修二は風呂に入って行った。
むつは普段強引の俺様だが、本能的というか、長年の付き合いだからというか、修二が本当にダメなタイミングが分かるみたいだ。
ヤナギに犯られそうになって弱った時も、俺は修二をそっとしといた方がいいと思ったが、むつが強引に迫って修二を元に戻した。
むつが言ってた『発作的に目が曇る』というやつ、残念ながら俺には分からない。
俺が修二の様子がおかしいと思ったのは、奏一さんが来た次の日。むつは奏一さんが来た時にはもうおかしかったと言ってた。だから、修二がおかしいのは、奏一さんと喧嘩になる前。今は奏一さんと喧嘩して落ち込んでるのもあるだろうと思ったけど、むつの推測を元にカマをかけた。「普通なのがおかしい」。すると修二は、喧嘩の原因は『百目鬼との接触がバレたから』と言った。
修二言葉と表情に矛盾を感じた。
むつの言ってるとおり、奏一さんが来る前からおかしかったとすると、奏一さんが来るまでの間に、修二に何かあったってことになる。
修二に聞いたところで答えないだろう。百目鬼との過去を、むつに隠したままでは、きっと解決しない。
かと言って、むつにバラすことは出来ない。
そうなれば、多少嘘を混ぜてでも、修二が1番口を割りそうな状況を作るしかない。
シャワーを浴びた修二が、また制服を着込んで戻ってきた、時間を置いてしまったせいか、少し冷静さを取り戻してる。
このままでは埒が明かない。
むつがベッドに座るように言うと、修二は黙ってむつの隣に座る。
修二「…」
むつ「…修二、何を溜め込んでる?」
修二「…溜め込んでない」
むつ「嘘つき、さっき俺を拒んだろ?」
修二「…それは、…付き合えないって言ったから、…別れ…話かと…」
むつ「はぁあ?!そんなのありえねぇし!」
食い気味に被ったむつの言葉に、修二が目を丸めた。なんか頭の中フル回転してるみたいで、言葉がない。
むつ「俺がお前に別れるって言うと思ったの?おかしくない?俺、絶対別れねぇよ、考えたこともねぇし」
修二「…ぇ?」
修二が驚きすぎて表情を失っている。
どうやら、修二は、俺たちと『別れる』気だったようだ。しかも、振られて当然だと思ってたようだ。
むつ「え?って、それ、俺の台詞だし、ってか別れ話だとしてもお前あんなアッサリなの?おかしいだろ、ムカつくし!なんなの?嘘ばっかじゃん、お前があんなアッサリ引ける訳ないじゃん。お前俺のこと超好きだろう?別れるなんて無理無理」
口をポッカリと半開きの修二。思考が追いついてない模様。うん、俺もちょっと驚いてる。流石はむつ君。すごい自信。あんなに色々嫉妬してたのに…
修二は頭がグルグルしてるのか停止してるのか分からないが、口を半開きのまま固まっている。それを見ていたむつが、焦れてため息を漏らす。
むつ「あーもー」
再びむつが修二の両頬を挟んで唇を奪うと、さっきの公園のような抵抗はなく、修二はされるがままだった。
華南は、ベッドで口づけを繰り返す2人に近づいた。
キスをされてる修二は、内心抗ってるようだったけど、瞳が溶けていくのが分かる。修二の仮面がボロボロ剥がれて行く、でも、原因が百目鬼にある以上、修二は口を割らないだろう。
修二が、俺らを好きじゃなくなったから別れようとしていたって言うのはないだろう、だとしたら、何考えてるか荒っぽくても吐かせないと…
それなら…
華南「…マキだよ」
むつ「あ?」
修二「え?」
ベッドの上で唇を重ねていた2人がこちらを向いた。
華南「コンビニ行ったら、修二とマキが一緒にいるのを見た、だから、後をつけたら、あの公園に来て何か2人で話してた。しばらくは普通だったけど、途中から言い合いになってて、マキに掴まれた腕を払ってベンチにぶつけてた。その時、聞き捨てならない言葉を修二が言ってた」
本当のことが言えない修二は、俺の嘘に口を挟むことが出来ないで唖然としてる。
「何を言うつもり?」って顔に書いてある。恐怖の色を滲ませる瞳が、華南を見つめて不安げに揺れる。
むつ「…マキに?なんて言ってた?」
華南「『僕は2人に彼女が出来るまでのダッチワイフ』だって」
むつ「はああ!?」
修二「言ってない!!」
修二が弾かれた様に叫んだ。
さっき百目鬼が俺にそう言った時は否定の声が聞こえなかったのに、今は感情が爆発みたいに必死だ。
むつ「…修二…」
修二「僕はそんなこと言ってない!!」
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