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俺たちの選択肢〜むつ〜
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商店街では結構ブツブツ言ってた修二も、ひと気のない住宅街に入ると、諦めたように大人しくなった。
むつ「修二、今日は俺ん家で夕飯食ってかね?体育祭の写真もあるし」
修二「あ、今日は家に母さんいるから…」
ピロリン♪
修二の携帯が鳴り、修二が話しながらメールを確認すると、急に慌て出した。
修二「ッ!……あ、むつん家で食べようかな、母さんに夕飯食べて来るってメールするね」
落ち着かない様子で微笑んで、そそくさとメールを送信した。
修二と俺の家との分かれ道、そのまま手を繋いで通過して俺の家にたどり着く。
そこには何故か汗びっしょりの華南が息を切らせて玄関脇に立っていた。
華南「よお、むつ」
むつ「よぉ」
華南「こんばんは、しゅーじくーん」
意味深ににっこり笑うと、修二もにっこり微笑んだ。
修二「こんばんは、華南」
ニコニコしている修二は、何故かスイッチが入ったみたいにキレイに微笑んで、その笑顔に華南の笑顔が深くなる。
あれ?華南怒ってる?なんか背中にメラメラしたものを感じる…。
むつ「華南、何やってんの?」
華南「ん?ジョギング?」
結局、華南も加わって俺の家で夕飯を食べて皆でリビングでそれぞれまったりしていた。
修二は赤ちゃんに夢中で、華南は姉貴の子供の夢と体育祭の写真で盛り上がり、写真を何枚が懐に忍ばせる。
あの写真は帰りに回収しよう。ぜってー全部俺の女装写真だし。
紬「ねぇねぇ」
食後にコーヒーと紅茶を淹れてくれた紬が、飲み物をテーブルに置きながら、コソコソ話しかけてくる。
紬「あんた達喧嘩してるの?」
むつ「は?してねーよ」
少なくとも俺は思い当たる節がない。
確かに、華南はやたら修二を気にしてるし、修二はスイッチ入りっぱなしでニコニコしてる。
紬「修二が華南君を避けてるように見えるんだけど」
むつ「…そうか?」
紬「本当にあんたって鈍感ね」
むつ「うっセーな、仲直りさせりゃあいいんだろ?」
紬「あんたのことだから無理やり2人から話を聞こうとしてるでしょ」
むつ「なんだよ、話し合って解決。平和的じゃん」
紬「ケースバイケースね、たまには大人の対応したら?」
むつ「大人の対応?」
紬「そう。黙って抱きしめて包んでやることも必要よ」
黙って抱きしめる…
紬「ふふーん、本当にしゅうちゃんが好きなのね、あんたが私の助言聞くなんて、いつもは聞く耳も持たず逃げるように部屋に行くのに」
むつ「別に逃げてねぇーよ」
イチャイチャしてーからな。
むつ「修二が赤ちゃん見たいって。もう、一ヶ月検診も終わったし、やっと帰るだろ?」
紬「何よその言い方、もっと寂しそうにしなさいよ」
むつ「ぜーんぜん寂しくなんかねぇーよ、むしろ清々するよ。あんたが居ちゃあゆっくりイチャイチャできねぇーからな」
紬「やだー、イチャイチャしてくれていいのにぃ〜」
ニヤニヤ話す紬に嫌気がさして、テーブルのコーヒーを奪うように取って、半分一気に飲み、乱暴にテーブルに置いた。
むつ「2人とも部屋行くぞ!」
名残惜しそうに赤ちゃんを眺める修二を引きずって、華南と3人で部屋に移る。
俺の部屋に入ると、広げっぱなしの雑誌を見つけて2人が驚いた。
修二「むつ…これ…」
華南「すご、チェック入ってる」
部屋にあったのは旅行の雑誌、買い漁って目を通し、目ぼしい宿泊施設にはチェックを入れてありる。
むつ「良さそうなの選んでみた。どう?」
俺だってやればできる!提案だけじゃ、なあなあになりそうだったから、先回りして色々やっといた、って言っても良さそうなの宿泊先選んだだけだけどな…
華南「どれも露天付きじゃん…、意外に安いのもあるんだな…へぇー、15000円」
修二「…」
むつ「まぁ、金はこれからだけど、最低でも一週間はバイトするし、それくらい余裕だろ?」
華南は食い入るように雑誌をみているが、ニヤニヤしてるあたり、早速露天での妄想でもしてるんだろう。まぁ…俺もそのための部屋付き露天だけどな。でもそれだけじゃないぞ、ちゃんと近くにあるデートスポットも調べてあるぞ!
華南「コレ、全部むつが一人で?」
むつ「へへ、出来る彼氏だろ?」
華南は満足したみたいに笑って親指を立てた
華南「どこも浴衣貸し出し、ナイスチョイスです!」
むつ「そっちかよ…」
鼻の下をだらしなく伸ばし、頭の中は浴衣を脱がしにかかってるのバレバレ、俺が折角頑張ったのに…ってか俺も同じ事考えてたから逆にイラっとした。
俺たちは夏休みの日程を話し合った。
7月26日土曜から修二が奏一さんと3号店へ、俺と華南は28日月曜日から海の家へ、旅行は8月の半ばの予約が取れた日で行くことに落ち着いた。
華南「よし!日程決まったし、じゃあ、そろそろ帰るか」
むつ「そうだな、早く帰って明日の面接に備えろよ、面接落ちたら承知しないからな」
この計画はバイト出来なきゃ全部水の泡だ。まぁ金髪の俺が受かったんだから問題ないだろう…
華南「修二帰ろうぜ」
修二「僕ちゃんむつん家泊まってく」
華南「は?!」
修二「イイよね?むつ」
修二が珍しく甘えた顔で俺の膝に手を乗せる。
むつ「おう、いいよ」
修二からそう言ってくるのは珍しい。紬が言ってるみたいに何かあったのかもと思い、即返事すると、修二は安心したように笑った。
華南「俺も!俺も泊まる!」
むつ「おめーは帰れ」
華南「酷い…即答」
紬が言うには、修二と華南の間に何かあったみたいだし、ここは一肌脱いでみよう。大人の男の対応で。
グズグズとしつこい華南を追い出してやった。
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